3次元再生軟骨・骨組織における安全性と有効性の確立

文献情報

文献番号
201106007A
報告書区分
総括
研究課題名
3次元再生軟骨・骨組織における安全性と有効性の確立
課題番号
H21-再生・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高戸 毅(東京大学 医学部附属病院 口腔外科・ティッシュエンジニアリング部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 義弘(東京大学 医学部附属病院)
  • 鄭 雄一(東京大学大学院 工学系研究科)
  • 星 和人(東京大学 医学部附属病院)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 中村 憲正(大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター)
  • 名井 陽(大阪大学 医学部附属病院未来医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
42,485,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、3次元再生軟骨、TEC再生関節軟骨、PRP複合3次元骨の産業化を最終目標として、治験開始に必要な品質および安全性の確認を行い、確認申請承認を受けることを目的としている。
研究方法
3次元再生皮下軟骨では、東大病院口腔外科において、口唇口蓋裂患者の鼻変形(唇裂鼻変形)患者に対して3次元再生皮下軟骨を移植し、自主臨床研究を行う。
TEC再生関節軟骨では、人工組織(TEC)に対し、急性毒性試験、発熱性試験、皮内反応試験、埋植試験、造腫瘍性試を実施した。また、ヒト幹細胞臨床研究申請のためのプロトコール作成、および培養に使用する培地、血清、試薬の安全性のためのデータ収集を行った。
PRP複合3次元骨では、テトラポッド型顆粒状人工骨(TB: Tetrabone)に5%トレハロースとクエン酸での表面処理を行い、ラット自己血清と混合した。上清を回収しマウス骨芽様細胞 (MC3T3-E1)に添加した後、細胞増殖活性を評価した。
結果と考察
3次元再生軟骨では、ヒト幹細胞臨床研究「ヒト幹細胞臨床研究:口唇口蓋裂における鼻変形に対するインプラント型再生軟骨の開発」を実施し、現在、2例の再生軟骨移植を終了しており、これまで明らかな重大有害事象ない。平成24年夏までに全例の移植を終了する予定である。
TEC再生関節軟骨では、ヒト幹細胞臨床研究へのプロトコールは完成し、採択された。
PRP複合3次元骨に関しては、BMP2は人工骨表面に吸着しその活性は低下するが、人工骨の表面処理によってその吸着が抑制されることを示唆している。PRPを用いた場合と同様にBMP2を用いても、表面処理の効果が確認されたことから、本人工骨は様々な骨再生因子との併用に用いることができると考えられる。
結論
3次元再生皮下軟骨では、ヒト幹細胞指針に基づく承認により確認申請承認を目標とした本研究の目的は達成されたと考えられる。現在、治験実施に向けた対応を進めている。
TEC再生関節軟骨では、TECの臨床応用のためのヒト幹臨床研究プロトコール作成が完成した。
PRP複合3次元骨では、PMDAとの医療機器治験相談を行って様々な指摘を受けた。それらの指摘を踏まえて、治験機器概要書及び治験実施計画書を作成し、現在治験計画届を提出する段階にある。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

文献情報

文献番号
201106007B
報告書区分
総合
研究課題名
3次元再生軟骨・骨組織における安全性と有効性の確立
課題番号
H21-再生・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高戸 毅(東京大学 医学部附属病院 口腔外科・ティッシュエンジニアリング部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 義弘(東京大学 医学部附属病院)
  • 鄭 雄一(東京大学大学院 工学系研究科)
  • 星 和人(東京大学 医学部附属病院)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 中村 憲正(大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター )
  • 名井 陽(大阪大学 医学部附属病院未来医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、3次元再生軟骨、TEC再生関節軟骨、PRP複合3次元骨の医師主導治験を実施し、この再生組織を産業化することを最終目標として、治験開始に必要な品質および安全性の確認(厚生労働省への確認申請)を行い、確認申請承認を受けることを目的としている。
研究方法
3次元再生皮下軟骨では、安全性、有効性を確認し、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針に則り、口唇口蓋裂の鼻変形患者に対する3次元皮下再生軟骨を移植するヒト幹細胞臨床研究「口唇口蓋裂における鼻変形に対するインプラント型再生軟骨の開発」を実施した。
TEC再生関節軟骨では、ヒト幹細胞臨床研究の開始をめざし、①臨床研究実施に必要なプロトコールの整備、②細胞調製を安全に行う自動工程管理システムの開発、③ヒト滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織(TEC)の移植に伴う安全性試験を実施した。
PRP複合3次元骨では、テトラポッド型顆粒状人工骨 (TB) に特殊な表面処理をすることによって、PRP (platelet rich plasma) 中に含まれる生体因子の吸着を抑制することを試みた。
結果と考察
3次元再生軟骨では、ヒト幹細胞臨床研究「ヒト幹細胞臨床研究:口唇口蓋裂における鼻変形に対するインプラント型再生軟骨の開発」(平成22年9月22日申請、平成23年3月15日大臣同意、同18日機関承認)を実施し、現在、2例の再生軟骨移植を終了しており、これまで明らかな重大有害事象ない。平成24年夏までに全例の移植を終了する予定である。
TEC再生関節軟骨では、プロトコールの整備、システム開発、安全性試験を行い、平成24年2月に厚生労働省より、ヒト幹細胞臨床研究としての臨床試験開始の承認を得た。
PRP複合3次元骨に関しては、表面処理を施したTBをPRP複合3次元骨の有効性が確認できた。企業主導治験を行うために、医薬品医療機器総合機構 (PMDA) において医療機器治験相談を実施し、複数の助言を得た。それらを反映させた治験実施計画書及び治験機器概要書を作成し、現在治験計画届の提出準備中である。
結論
3次元再生皮下軟骨では、ヒト幹細胞指針に基づく承認により確認申請承認を目標とした本研究の目的は達成されたと考えられる。現在、治験実施に向けた対応を進めている。
TEC再生関節軟骨では、TECの臨床応用のためのヒト幹臨床研究プロトコール作成が完成、ヒト幹細胞臨床研究に採択された。
PRP複合3次元骨では、PMDAとの医療機器治験相談を行って様々な指摘を受け、現在治験計画届を提出する段階にある。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201106007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
3次元再生軟骨では、後継プロジェクトで再生軟骨の保存期間を延長し、製造機関から遠隔地にある医療機関においても使用できる技術開発や、移植された再生軟骨を非侵襲的に評価する指標を検討している。TEC再生関節軟骨では、ヒト幹細胞臨床研究の臨床研究が開始されている。PRP複合3次元骨では、テトラポッド型顆粒状人工骨 (TB) に特殊な表面処理をする有効性を確認した。TBに関する基礎的検討を英文学術雑誌にて報告した。
臨床的観点からの成果
3次元再生皮下軟骨の治験を実施するプロトコールを作成し、平成27年3月25日に東大病院IRBの承認を受けた。3月31日に治験届を提出(症例数2)し、平成27年度から東大病院にて医師主導治験を開始予定である。TEC再生関節軟骨では、治験実施に向けてPMDAと薬事戦略相談を行っている。PRP複合3次元骨に企業主導治験を行うために PMDA において医療機器治験相談を実施し、現在治験計画届の提出準備中である。
ガイドライン等の開発
中村は平成21年度次世代医療機器評価指標策定事業再生医療(細胞シート)審査WGの座長として評価指標事業を推進、完成させ、翌年、厚生労働省より薬食機発1215第1号として公表された。
その他行政的観点からの成果
ガイドラインは今後の軟骨再生医療開発における指標として大きな影響力を持つものと考えられる。
その他のインパクト
新聞掲載 
1. 髙戸毅:動き出す再生医療③ 軟骨を培養、耳や鼻修復へ.2014年9月25日, 読売新聞 夕刊
2. 髙戸毅:再生医療の製品化 加速 安全性確保など2法施行.2014年11月26日,朝日新聞 朝刊

公開シンポジウム
1. これからの再生臓器組織開発.日本再生医療公開フォーラム エピローグ「これからの再生医療」 2014年9月28日 国際フォーラム,東京

発表件数

原著論文(和文)
10件
原著論文(英文等)
35件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
82件
学会発表(国際学会等)
47件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
5件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tanaka Y, Saijo Y, Fujihara Y et al
Evaluation of the implant type tissue-engineered cartilage by scanning acoustic microscopy.
J Biosci Bioeng  (2012)
原著論文2
Ko EC, Fujihara Y, Ogasawara T et al.
BMP-2 embedded atelocollagen scaffold for tissue-engineered cartilage cultured in the medium containing insulin and triiodothyronine--a new protocol for three-dimensional in vitro culture of human chondrocytes.
Tissue Eng Part C Methods  (2012)
原著論文3
Iwata K, Asawa Y, Nishizawa S et al.
The development of a serum-free medium utilizing the interaction between growth factors and biomaterials.
Biomaterials  (2012)
原著論文4
Yonenaga K, Nishizawa S, Fujihara Y et al.
Application of floating cells for improved harvest in human chondrocyte culture.
Biomed Res  (2012)
原著論文5
Asawa Y, Sakamoto T, Komura M et al.
Early stage foreign body reaction against biodegradable polymer scaffolds affects tissue regeneration during the autologous transplantation of tissue-engineered cartilage in the canine model.
Cell Transplant  (2012)
原著論文6
Tanaka Y, Yamaoka H, Nishizawa S et al.
The optimization of porous polymeric scaffolds for chondrocyte/atelocollagen based tissue-engineered cartilage.
Biomaterials  (2010)
原著論文7
Yamaoka H, Tanaka Y, Nishizawa S et al.
The application of atelocollagen gel in combination with porous scaffolds for cartilage tissue engineering and its suitable conditions.
J Biomed Mater Res A  (2010)
原著論文8
Yonenaga K, Nishizawa S, Fujihara Y et al.
The optimal conditions of chondrocyte isolation and its seeding in the preparation for cartilage tissue engineering.
Tissue Eng Part C Methods  (2010)
原著論文9
Ando W, Heard BJ, Chung M et al.
Ovine synovial membrane-derived mesenchymal progenitor cells retain the phenotype of the original tissue that was exposed to in-vivo inflammation: evidence for a suppressed chondrogenic differentiation potential of the cells.
Inflamm Res  (2012)
原著論文10
Yoshida K, Higuchi C, Nakura A et al.
Treatment of Partial Growth Arrest Using an In Vitro-generated Scaffold-free Tissue-engineered Construct Derived From Rabbit Synovial Mesenchymal Stem Cells.
J Pediatr Orthop  (2012)
原著論文11
Nakamura N, Takeuchi R, Sawaguchi T
Cross-cultural adaptation and validation of the Japanese Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS).
J Orthop Sci  (2011)
原著論文12
ISAKOS Scientific Committee et al.
International Society of Arthroscopy, Knee Surgery and Orthopaedic Sports Medicine. A practical guide to research: design, execution, and publication.
Arthroscopy  (2011)
原著論文13
Shimomura K, Ando W, Tateishi K et al.
N. The influence of skeletal maturity on allogenic synovial mesenchymal stem cell-based repair of cartilage in a large animal model.
Biomaterials  (2010)
原著論文14
Takeuchi R, Sawaguchi T, Nakamura N et al.
Cross-cultural adaptation and validation of the Oxford 12-item knee score in Japanese.
Arch Orthop Trauma Surg  (2011)
原著論文15
15. Higuchi C, Nakamura N, Yoshikawa H et al.
Transient dynamic actin cytoskeletal change stimulates the osteoblastic differentiation.
J Bone Miner Metab  (2009)
原著論文16
Nakamura N, Miyama T, Engebretsen L et al.
Cell-based therapy  in articular cartilage lesions of the knee.
Arthroscopy  (2009)
原著論文17
Katakai D, Imura M, Ando W et al.
Compressive properties of cartilage-like tissues repaired in vivo with scaffold-free, tissue engineered constructs.
Clin Biomech  (2009)

公開日・更新日

公開日
2017-06-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201106007Z