我が国の経験を踏まえた開発途上国における献血制度の構築と普及に関する研究

文献情報

文献番号
201103020A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国の経験を踏まえた開発途上国における献血制度の構築と普及に関する研究
課題番号
H23-地球規模・指定-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 泰司(国立大学法人長崎大学 医歯薬学総合研究科 附属原爆後障害医療研究施設 分子医療部門 分子治療学研究分)
研究分担者(所属機関)
  • 野崎 慎仁郎(WHO本部)
  • 菅原 拓男(日本赤十字社本社)
  • 福吉 潤(キャンサースキャン)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
・繰越課題
 WHO世界保健機関では、世界各国の血液需給に関し血液確保が社会責任であるとの考えに基づき、各国ごとの自発的な献血に由来する血液製剤による自給を訴え、各国に無償の自発的な献血の実施を求めている。しかしながら、実際に100%献血で血液を賄えているのは、2007年で57カ国と、世界の1/3の国にも満たない。本研究においては、我が国のこれまでの献血制度の構築と普及に至った方策をパッケージ化し、世界中の開発途上国に我が国の経験を紹介し、共有することにより、2020年までの全世界での100%献血の達成に貢献することを目的とする。
 我が国の献血制度の構築と普及の方策をパッケージ化し、開発途上国に供与できる教材を作成する。国、日本赤十字社、地方自治体が有する経験とノウハウの供与を受け、それらをマニュアル化の手法に基づき、英文のパッケージとして取りまとめる。また、WHOとも協力し、開発途上国における血液事業の態様、医療制度、人口構成、疾病構造、現在行われている医療内容および産業構造・技術力、血液製剤の流通システム、利用者層などのマーケットリサーチなどについて、アジアやアフリカなどの開発途上国数カ国を対象に調査を実施する。
 日本の献血制度の普及には、時系列的に三段階の大きな流れの変化がある。それぞれの年代ごとに、普及啓発と教育(偶発的に発生したものも含む)による国民運動が起こり、それが制度・法律、インフラ整備に影響を与えた結果、献血制度構築・普及のよいサイクルを作ってきたことが明らかとなった。パッケージ化された方策を実践する候補地として、アフリカ諸国は基礎保健医療指標が低くパイロットプロジェクトの効果的な実施が望めないこと、また、文化的な差異からパイロットプロジェクトの実施が困難と判断された。アジア諸国、その中でも我が国との関係が緊密であるアセアン及び近年本件分野で急速に関係を強めているインドが対象の候補となった。
 日本においては、法制度、インフラが十分に整っていない段階で、国民運動が起こり、それが推進する形で献血制度が構築・普及した。法制度、インフラが十分に整っていない可能性のある開発途上国においても、このモデルは十分に参考となるものであった。パッケージを用いたパイロットプロジェクトの実施地としてはインドを筆頭に対象国として検討することが適当と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201103020Z