アジア諸国における血漿分画製剤の製造体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
201103019A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア諸国における血漿分画製剤の製造体制の構築に関する研究
課題番号
H23-地球規模・指定-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 上原 鳴夫(東北大学大学院 国際保健学分野)
  • 野崎 慎仁郎(長崎大学 国際連携研究戦略本部)
  • 杉内 善之((財)血液製剤調査機構 調査課)
  • 菅河 真紀子(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アジア諸国に対し、わが国が有する安全で安心な血液事業を取り巻く技術・制度などをどのようにして提供していくかを同定することが目的である。
研究方法
共通の調査フォーマットに基づいて現地を訪問して血漿分画製剤に対する政策等の実態を調べた。
結果と考察
中国では主要企業10社で製造されているが、血漿分画製剤は価格が高く入手しにくい。国内血漿をもとに製造を行っている。海外との血漿分画製剤の受委託製造は行われていない。フィリピンでは、血漿分画製剤は、100%アメリカのバクスター社から輸入している。現在、海外からの技術・製造装置(Singa Pharm社の「PrlME」)を導入することにより小規模血漿分画製剤製造体制の構築を検討している。
インド、タイ、マレーシアにおいては、自国での生産体制を有しているかその途上にある。他の国については、製造そのものを当初から考えておらず、輸入に頼っていたり技術的あるいは予算的な制約から血漿分画製剤の製造に至っていない状況であった。なお、製造をしている国においても量と質の確保は十分でない。タイではかつて韓国のグリーンクロスに原料血漿を送り、製造委託を行っていたが、グリーンクロスでは生産計画が立てにくいということで、現在行われていない。インドネシアでは、血漿分画製剤の原料採漿から製剤化、供給に至るまでの基準や品質、安全性および価格などに関する事項が法令により定められている。インドネシアの血液事業は保健省と州保健局の監督指導のもとで赤十字社が実施を担当し、政策的に推進されている。また、血漿分画製剤の国内製造を促進していることが確認された。米国の輸血用血液は米国赤十字社 (American Red Cross:ARC)が40?45%、米国血液センター協会(America’s Blood Centers: ABC )40?45%を供給している。ARCでは、輸血用血液製剤はすべて無償献血である。
結論
血漿分画製剤の原料血漿確保、製造および供給技術の協力を行うことが期待できる国として、中国、フィリピン共和国、インド、タイ、インドネシアを調査した。しかし、これらの国は自国での製造を目指している国や諸事情によりわが国が協力できなかった国など、いずれもわが国が技術提供対象国からは外れていると考える。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201103019Z