地球規模の模造薬(カウンターフィット薬)蔓延に対する規制と健康影響に関する調査研究

文献情報

文献番号
201103017A
報告書区分
総括
研究課題名
地球規模の模造薬(カウンターフィット薬)蔓延に対する規制と健康影響に関する調査研究
課題番号
H23-地球規模・指定-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
木村 和子(金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
研究分担者(所属機関)
  • 谷本 剛(同志社女子大学 薬学部)
  • 赤沢 学(明治薬科大学 公衆衛生・疫学)
  • 坪井 宏仁(金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
  • 吉田 直子(金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
模造薬はかっては発展途上国の問題だったが、現在では先進国での事件が急増している。欧米先進国の模造薬対策、模造薬の健康影響、我が国への侵入口である個人輸入ネット代行の実態を明らかにし、我が国の模造薬対策の強化に資する。 
研究方法
①模造薬規制調査:文献検索、情報交換、訪問面接調査
②模造薬の健康影響:PubMedでキーワード検索によるレビュー、
③模造薬侵入調査:不審サイトによる試買。真正性調査、品質調査
④偽造品鑑別法の確立:LC/MS、不純物プロファイリング
⑤国際貢献:国際誌への投稿、学会発表によった。
結果と考察
①模造薬規制調査:EUでは改正医薬品指令を2011年7月公布し、施行令準備が進んでいる。EU指令は正規ルートへの模造薬侵入を阻止する。2011年10月に署名された欧州評議会医薬品犯罪条約は、模造品の製造販売を刑法犯とする根拠となる。原料、インターネット販売やブローカも規制下に置かれた。独仏では少量の携帯以外の個人輸入は規制されている。 
②模造薬の健康影響:健康被害報告が29件同定され、うち19件が模造薬が原因だった。発生地は15件が発展途上国、2件が先進国。医薬品種類は解熱鎮痛薬6、抗マラリア薬2、糖尿病治療薬2、その他7。原因は他物質混入8(うち7がジエチレングリコール)、有効成分無または過少5、過多1、特定不能3であった。 」
③模造薬侵入調査:住所不明、模造薬広告または模造薬販売歴のある14個人輸入代行サイト(以下、不良サイトという)のバイアグラ22サンプル中、18サンプル(13サイト分)が模造薬だった。模造薬は全て中国または香港から発送され、発送業者は医薬品卸や輸出入業許可非取得か不明業者。模造薬の89%(16サンプル)が含量または溶出試験不合格。
④偽造品鑑別法の確立:HPLCでのシルデナフィル、デスメチル体、ホモ体の鑑別は容易でないが、マススペクトル解析により鑑別可能である。また、主成分が真正品と同じでも不純物プロファイルの比較解析によって偽造や無許可無承認医薬品を鑑別できた。
結論
模造薬が健康被害を及ぼすことは明らかだ。ネットによる我が国への模造薬侵入は不良サイトで頻繁に発生しており、発送業者の資格は不透明、製品の品質は不良だった。従来の薬事法の枠を超えた欧州の模造薬規制が、ひとつの参考となろう。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201103017Z