文献情報
文献番号
201103015A
報告書区分
総括
研究課題名
デバイス・ラグ解消に向けた海外規制の実態とその対策に係る調査研究
課題番号
H23-地球規模・指定-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
戸高 浩司(九州大学 大学病院)
研究分担者(所属機関)
- 山本 晴子(国立循環器病研究センター研究開発基盤センター先進医療・治験推進部)
- 池田 正行(長崎大学医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新成長戦略2010にも記載のデバイスラグ解消を目指すため、原因となる多因子群について同定・分析し、有効な対策を立案する。
研究方法
初年度は以下の3点を調査した。
1.治験に至る前の臨床試験に係る規制
2.保険償還制度の違いが臨床応用に与える影響
3.国民性が医療機器開発に与える影響
1.治験に至る前の臨床試験に係る規制
2.保険償還制度の違いが臨床応用に与える影響
3.国民性が医療機器開発に与える影響
結果と考察
1.米国では治験以外の医療機器臨床試験でもFDAに届出義務があるが日本には同様の制度はない。
2010年に通知「臨床研究において用いられる未承認医療機器の提供等に係る薬事法の適用について」により企業からの機器提供が可能である要件が示された。それに基づきMETIS戦略会議が「未承認医療機器を用いた臨床研究の手引き」を編纂し漸く研究者主導臨床研究のルールが定められた。
2.保険償還を含む臨床応用迄のデバイスラグについて調査した研究はない。
本邦において特定保険医療材料に当る機器は保険適用審査を経て半年ほどで基準に収載される。
米国のメディケアについては診断名・治療法ごとの包括払い(DRG)であり、原則的に機器の薬事承認後直ちに保険償還可能となる。ただどのDRG分類に入るか、新分類創設の場合など不確定要素がある。民間保険については90%がメディケアを参照すると言われるが保険償還の全貌は詳らかではない。恐らく日米間のデバイスラグに保険償還の影響度合は例外を除いて大きくないと考えられた。
3.医療技術に関するリスク・ベネフィット認知の違いについて。
英国公的保険カバーのワクチン20種のうち4種以外は日本で承認もされていなかった。その原因は混合ワクチンであることなど多岐に渡るが両国のリスク認知の違いを示唆するものもある。
医療機器に関連したリスク・ベネフィット認知の国ごとの比較データはないため、一般人を対象にした日米英のアンケートを計画、実施した。結果の一部を以下に示す。
X線、ペースメーカ、抗生物質、ワクチン等の医療項目は英>米>日の順に「役立つ」と感じる割合が多かった。「危険」と感じる割合はX線等の医療機器では日>英>米の順で好意的(危険と感じる割合が少ない)、抗生物質等の薬では英>日>米の順であった。しかしこの4項目とも自らが受け入れる割合は英>米>日の順となり有効性が重んじられた結果のように見え、奇しくも新薬や新医療機器が上市される一般的順序と一致した。
2010年に通知「臨床研究において用いられる未承認医療機器の提供等に係る薬事法の適用について」により企業からの機器提供が可能である要件が示された。それに基づきMETIS戦略会議が「未承認医療機器を用いた臨床研究の手引き」を編纂し漸く研究者主導臨床研究のルールが定められた。
2.保険償還を含む臨床応用迄のデバイスラグについて調査した研究はない。
本邦において特定保険医療材料に当る機器は保険適用審査を経て半年ほどで基準に収載される。
米国のメディケアについては診断名・治療法ごとの包括払い(DRG)であり、原則的に機器の薬事承認後直ちに保険償還可能となる。ただどのDRG分類に入るか、新分類創設の場合など不確定要素がある。民間保険については90%がメディケアを参照すると言われるが保険償還の全貌は詳らかではない。恐らく日米間のデバイスラグに保険償還の影響度合は例外を除いて大きくないと考えられた。
3.医療技術に関するリスク・ベネフィット認知の違いについて。
英国公的保険カバーのワクチン20種のうち4種以外は日本で承認もされていなかった。その原因は混合ワクチンであることなど多岐に渡るが両国のリスク認知の違いを示唆するものもある。
医療機器に関連したリスク・ベネフィット認知の国ごとの比較データはないため、一般人を対象にした日米英のアンケートを計画、実施した。結果の一部を以下に示す。
X線、ペースメーカ、抗生物質、ワクチン等の医療項目は英>米>日の順に「役立つ」と感じる割合が多かった。「危険」と感じる割合はX線等の医療機器では日>英>米の順で好意的(危険と感じる割合が少ない)、抗生物質等の薬では英>日>米の順であった。しかしこの4項目とも自らが受け入れる割合は英>米>日の順となり有効性が重んじられた結果のように見え、奇しくも新薬や新医療機器が上市される一般的順序と一致した。
結論
研究者主導臨床研究制度、リスク・ベネフィット認知の差異についてはラグの原因になっていると示唆された。
公開日・更新日
公開日
2012-11-05
更新日
-