アジア地域の小児成長曲線の作成と成長指標の開発

文献情報

文献番号
201103009A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア地域の小児成長曲線の作成と成長指標の開発
課題番号
H21-地球規模・若手-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 なほ子(国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 邱 冬梅(チュウ ドンメイ)(国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部 )
  • 前川 貴伸(国立成育医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、共同研究者が得られるベトナムにおいて調査を実施し、ベトナムの子どもの成長曲線を作成すると同時に、アジア諸国の成長曲線を比較し、アジアに特化した小児肥満疫学指標の開発を目指している。
研究方法
1.ベトナム成長曲線
ベトナムの63県(ハノイ市含む)は8地域に分けられる。各地域から4県をランダムに抽出し、合計32県、49,248名の性、年齢、身長、体重の計測を実施した。LMS法により成長曲線を作成した。
2.中国の成長曲線
研究協力者から、中国学生体質及び健康調査データの2005年北京市の部分の提供を受け、LMS法にて曲線を作成した。WHOやインド等の成長曲線と比較を行った。
3.ラオスの成長曲線
ラオス国の首都ビエンチャンの国立保健病院で、生後から5歳まで追跡できたコホート(男児120名、女児120名)の身体計測値のデータから、性別毎に身長、体重、頭囲の平均値を算出し、WHO標準曲線に外挿し、比較検討を行った。
結果と考察
1.ベトナムの成長曲線
データクリーニング後、48,997名のデータを用いて、身長、体重およびBMIの成長曲線を作成した。
2.中国の成長曲線
北京男児のBMIレベルは女児より高いことと、北京男児女児のBMIはともに中国全国レベルより高いことが明らかとなった。また、WHO及び先進国に比べ、北京男児のパーセンタイル曲線は上位パーセンタイル値で高く、下位パーセンタイル値で低いことから、中国小児、特に男児は、肥満と体重不足が共存していることが明らかになった。このようなBMI値の二極化傾向は同じ発展途上国であるインドにもみられた。中国を含む発展途上国が経済発展に伴いライフスタイル及び食事パタンーの変遷による過剰栄養と栄養不足という二重負担になっていることが示唆された。
3.ラオスの成長曲線
コホートの体重と頭囲はWHO標準成長曲線に沿ったが,身長は生後6ヶ月から24ヶ月にかけてWHO標準曲線を約-0.5SDから-2SDまで離れ、その後5歳までに-1SD近くにキャッチアップする傾向を示した。
結論
本年度は、ベトナム、中国、ラオスに関して成長曲線の作成を実施した。アジア諸国内での比較解析を継続している。

公開日・更新日

公開日
2012-06-19
更新日
-

文献情報

文献番号
201103009B
報告書区分
総合
研究課題名
アジア地域の小児成長曲線の作成と成長指標の開発
課題番号
H21-地球規模・若手-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 なほ子(国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 前川 貴伸(国立成育医療研究センター)
  • 邱 冬梅(チュウ ドンメイ)(国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、共同研究者が得られるベトナムにおいて調査を実施し、ベトナムの子どもの成長曲線を作成すると同時に、アジア諸国の成長曲線を比較し、アジアに特化した小児肥満疫学指標の開発を目指している。
研究方法
1.ベトナム成長曲線
ベトナムの63県(ハノイ市含む)は8地域に分けられる。各地域から4県をランダムに抽出し、合計32県、49,248名の性、年齢、身長、体重の計測を実施した。LMS法により成長曲線を作成した。
2.中国の成長曲線
研究協力者から、中国学生体質及び健康調査データの2005年北京市の部分の提供を受け、LMS法にて曲線を作成した。WHOやインド等の成長曲線と比較を行った。
3.ラオスの成長曲線
ラオス国の首都ビエンチャンの国立保健病院で、生後から5歳まで追跡できたコホート(男児120名、女児120名)の身体計測値のデータから、性別毎に身長、体重、頭囲の平均値を算出し、WHO標準曲線に外挿し、比較検討を行った。
結果と考察
1.ベトナムの成長曲線
データクリーニング後、48,997名のデータを用いて、身長、体重およびBMIの成長曲線を作成した。
2.中国の成長曲線
北京男児のBMIレベルは女児より高いことと、北京男児女児のBMIはともに中国全国レベルより高いことが明らかとなった。また、WHO及び先進国に比べ、北京男児のパーセンタイル曲線は上位パーセンタイル値で高く、下位パーセンタイル値で低いことから、中国小児、特に男児は、肥満と体重不足が共存していることが明らかになった。このようなBMI値の二極化傾向は同じ発展途上国であるインドにもみられた。中国を含む発展途上国が経済発展に伴いライフスタイル及び食事パタンーの変遷による過剰栄養と栄養不足という二重負担になっていることが示唆された。
3.ラオスの成長曲線
コホートの体重と頭囲はWHO標準成長曲線に沿ったが,身長は生後6ヶ月から24ヶ月にかけてWHO標準曲線を約-0.5SDから-2SDまで離れ、その後5歳までに-1SD近くにキャッチアップする傾向を示した。
結論
本年度は、ベトナム、中国、ラオスに関して成長曲線の作成を実施した。アジア諸国内での比較解析を継続している。

公開日・更新日

公開日
2012-06-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201103009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ベトナム国小児成長曲線の作成については、LMS法を用いて成長曲線を作成する際に必要な規模でのデータ数とベトナム国全域からデータ収集が実施され、データの代表性が担保された曲線が完成した。これは、ベトナムでも初めての試みであり、非常に貴重な資料である。通常、横断的にデータを収集して作成することが多い成長曲線を、本研究班では、ラオスにおいて縦断的に収集したデータで作成した。その点が非常に貴重な成果である。
臨床的観点からの成果
本研究班で作成されたベトナムの成長曲線は、ベトナムで最大規模にデータ収集を実施した標準曲線である。今後、ベトナムの小児の成長の臨床的基準として使用される予定である。
ガイドライン等の開発
本研究班で作成されたベトナムの成長曲線は、ベトナムで最大規模にデータ収集を実施した標準曲線である。研究終了時にはガイドライン等の開発は予定していなかったが、今後、冊子化を検討する予定である。
その他行政的観点からの成果
国際的な共同母子保健研究を進めていく基盤づくりの一助となったと考えられる。今後、予定している冊子化や、ベトナム国内での本成長曲線の使用の際に、本邦との共同研究で作成されたことが記載されるので、本邦とベトナム国の共同研究に関する姿勢の宣伝効果が期待できる。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201103009Z