文献情報
文献番号
199700893A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症に関する基礎研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 裕徳(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 エイズ対策研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
一連のV3置換体を作成し、コレセプター認識の特異性を検討する。得られた組み換え体を用い、HIV-1初感染時に特定のコレセプタ使用域をもつウイルスの選択が起こるか否か、をマウスモデルで検証する。
研究方法
外被タンパク質V3ループ配列のみ異なり、他の遺伝情報が同じHIV-1組み換え体のサブセットを作成する。その中から、CXCR4,CCR5及び双方のコレセプターを用いるウイルスを見つける。これらを、SCID-huPBLマウスを用いた経血液経路で接種し、経時的に血液中のウイルスの種類(V3)を調べる。
結果と考察
1.HIV-1-V3組み換え体の構築とコレセプター使用域、細胞指向性の解析:HIV-1 LAI株をベースに計36種のV3置換体を作成し、CCR5のみ使うウイルス17株、CXCR4のみを使う株14株、双方を使う株3株を得た。また、細胞指向性の検討もほぼ終了した。2.V3置換体性質決定の過程で、3つの知見が得られた。第一に、異なるHIVサブタイプ(アミノ酸レベルで最大60%の相同性しか持たない)の間でV3置換が可能であることが判明した。第二に、点突然変異株8株の解析から、最小2残基の塩基性アミノ酸置換でコレセプター認識の特異性が変わることが判明した。第三に、感染の成立に関与するウイルスはCCR5使用型で病状の進行に伴い CCR5使用型ウイルスからCXCR4使用型ウイルスが出現することが示唆された。
結論
1.V3 loop配列がコレセプター認識の特異性の決定には塩基性アミノ酸が関与する。2.感染個体内でV3配列の変化に伴いコレセプター使用域が変化する。3.予定通りのHIV-1サブセットが得られたので、現在の戦略でSCID-huPBLマウスを用いたin vivo感染実験を行う。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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