文献情報
文献番号
201103004A
報告書区分
総括
研究課題名
コムギ無細胞タンパク質合成法を活用したマラリアワクチン候補抗原の網羅的探索技術の開発に関する研究
課題番号
H21-地球規模・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
坪井 敬文(国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 遠藤 弥重太(国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
- 澤崎 達也(国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
- 竹尾 暁(国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
- 鳥居 本美(国立大学法人 愛媛大学大学院 医学系研究科)
- 石野 智子(国立大学法人 愛媛大学大学院 医学系研究科)
- 橘 真由美(国立大学法人 愛媛大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
37,777,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
マラリアワクチン開発は最重要世界保健課題の一つである。その実用化のためには、既知のワクチン候補のみの研究では限界に達しており、新たなワクチン候補分子の探索が緊急の課題となっている。本申請では、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を基盤とするハイスループットなマラリアワクチン候補抗原探索系の技術開発を目的とした。本研究において新規のワクチン候補抗原が同定できれば、国際的なマラリアワクチン研究開発を先導することが期待できる。
研究方法
以下に列挙する。1)機能的ビオチン化プロテオリポソーム膜蛋白質との抗原抗体反応検出系の構築。2)熱帯熱マラリア原虫メロゾイト期組換えタンパク質の合成及び特異抗体の作製。3)FACSを応用したマラリア原虫増殖阻害活性測定系によるワクチン候補抗原の探索。4)ネズミマラリア原虫モデルを用いたマラリア伝搬阻止ワクチン候補抗原の探索。
結果と考察
リポソームで内包された膜蛋白質を基質にした抗原抗体反応を検出できる実験系の構築を行い、マラリアワクチン候補となりうる新規膜タンパク質抗原のスクリーニングをゲノムワイドに可能とする技術基盤の構築を行った。また、分子の機能に依拠したワクチン候補探索技術の有用性も検証した。赤血球侵入時に機能している可能性のある原虫分子77種に対する抗体を作製し、FACSを応用したマラリア原虫増殖阻害活性測定系を用いてワクチン活性を検証した。その結果、4種の既知のワクチン候補抗原及び3種の新規ワクチン候補抗原、計7種類に対する抗体が熱帯熱マラリア原虫の増殖を阻害した。また、上記の内GAMAと呼ばれる原虫タンパク質に対する抗体は伝搬阻止活性を有することが、ネズミマラリアin vivo評価系を用いて確認された。したがって、GAMAは一つの抗原で赤血球期及び伝搬阻止ワクチンとなりうる多価ワクチン候補であることが示唆された。
結論
以上より、新規マラリアワクチン候補抗原のゲノムワイドな探索が可能となる技術基盤が確立したと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2012-06-19
更新日
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