リスクにおける政策過程の理論モデルの構築-新型インフルエンザを事例として-

文献情報

文献番号
201101048A
報告書区分
総括
研究課題名
リスクにおける政策過程の理論モデルの構築-新型インフルエンザを事例として-
課題番号
H23-政策・若手-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宮脇 健(日本大学 法学部)
研究分担者(所属機関)
  • 笹岡 伸矢(広島修道大学 法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
1,005,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、リスクにおける政策過程の理論モデルを構築するために、2009年に発生した新型インフルエンザに対する神戸市・仙台市の対応を分析し、リスクの際に行政の対応行動を決定づけた要因が何かを明らかにすることを目的としている。その取り掛かりとして、神戸市、仙台市の対応の特徴を明らかにする。
 
研究方法
 本研究では2009年新型インフルエンザに対する神戸市・仙台市の対応について明らかにするために、両市の新型インフルエンザ発生時の対応について概観し、考察をする。その際には、事前対応策であるそれぞれの市の行動計画と比較、分析を行う。
結果と考察
 神戸市・仙台市の新型インフルエンザ対応について事前、事後対応を比較しながら考察を行ってきたところ、現段階で以下のことが明らかになった。神戸市に関しては、阪神淡路大震災の経験もあり、以前より危機管理には敏感であった。ただし、震災と感染症では異なる面があったことも確かである。結果として、神戸で築かれた「神戸モデル」はそれなりに機能したという言える。仙台市に関しては「仙台方式」が概ね機能していたことが指摘できる。事前の対応策である基本方針が具体的な対応にまで踏み込んでいたことから、多くの場合、その対応に則り新型インフルエンザ対応を行っていたと言える。しかし両市ともに問題があったのでその点は今後明らかにしていく。
結論
 神戸市に関しては、今後、再び新型インフルエンザが発生したときにどうするかという問題に目を向けなければならない。自治体は国の行動や方針に大きな制約を受けることになる。当初の計画や既存の法律ですでに自治体に制約が課されている場合も少なくない。ゆえに、自治体に裁量を与えるかたちで計画を変更し、法律を替える動きを求める声がよく聞かれる。他方、既存の「神戸モデル」が機能した面もあり、むやみに変更されるべきではないだろう。一方、仙台市に関しては「仙台方式」がワクチンを除き、概ね機能していたことが明らかになった。仙台方式は国の事前対応とは異なる特徴があることも明らかになったが、それについても国の対応が想定する範囲を逸脱しない形であった。本研究は文献、資料に基づく成果であるため限界がある。24年度は医療機関にアンケート調査を実施する予定である。その結果を踏まえて、リスクにおける政策過程の理論モデルを構築したい。

公開日・更新日

公開日
2012-11-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101048Z