児童虐待の発生と重症化に関連する個人的要因と社会的要因についての研究

文献情報

文献番号
201101040A
報告書区分
総括
研究課題名
児童虐待の発生と重症化に関連する個人的要因と社会的要因についての研究
課題番号
H23-政策・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 武男(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 小稲 文(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部 )
  • 佐藤 拓代(独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター 企画調査部)
  • 奥山 眞紀子(独立行政法人国立成育医療研究センター こころの診療部 )
  • 植田 紀美子(独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター 企画調査部)
  • 加藤 曜子(流通科学大学 サービス産業学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,596,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、虐待が発生し深刻化する個人的・社会的要因について、その時期と内容を明らかにするとともに地域のアセスメントを行うことによって、地方自治体等における既存の母子保健サービスや行政システムの中で実施可能な虐待防止介入プログラムを開発することを目的とする。
研究方法
① (独)国立成育医療研究センターに集積された虐待データベースを活用し、虐待による頭部外傷の個人的要因や社会的要因について、症例対照研究を行った。また、千葉県鎌ケ谷市における虐待事例の質的研究を行った。さらに、虐待による死亡事例の症例対照研究を行った。②児童相談所および市町村における虐待対応を比較し、市町村における地域アセスメントによるシステム的介入の効果を検証した。③海外での虐待予防介入プログラムのレビュー研究を行った。④既存の母子保健行政の枠組みで実施可能な虐待予防介入計画をデザインし、一部地域で実際にスタート、効果の検証を行った。⑤効果評価のために虐待による頭部外傷の発生率の把握の手法に関する研究、また医療費・社会的コストの試算を行った。
結果と考察
①市町村における質的研究から、母親の発達障害傾向というリスク要因が抽出された。一方、虐待死亡事例検証からは副腎内分泌系の変化が明らかとなり、早期発見のためのバイオマーカーとなりうることが示唆された。また、病院で把握された虐待による頭部外傷は必ずしも貧困層に偏っておこるわけではないことも分かった。繰り返されていることも示唆された。②虐待対応において、児童相談所と市町村対応件数は正の相関が見られた。また、母子保健機関におけるリスクアセスメントを用いたシステム的取り組みを開始した。③妊娠期からの頻回な家庭訪問が効果的とのエビデンスであった。④泣きへの対処に注目したポピュレーションアプローチで予防する介入(茨城県)と、ハイリスク群への養育支援訪問事業による家庭訪問(愛知県)をデザインし、茨城県では実施による知識の向上を確認した。⑤北米では、入院症例のICDコードから虐待の発生率を把握できることがわかった。また、虐待による頭部外傷のコストは非虐待頭部外傷の約10倍であった。
結論
虐待の発生、深刻化に関する個人的・社会的要因について、これまでにない個人的・社会的要因が得られた。今後は、これらを考慮した虐待対策を行い、その効果を示す必要がある。

公開日・更新日

公開日
2012-11-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,396,000円
(2)補助金確定額
8,396,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,104,231円
人件費・謝金 2,509,317円
旅費 2,292,752円
その他 1,690,204円
間接経費 800,000円
合計 8,396,504円

備考

備考
利息114円及び自己資金390円の計上による。

公開日・更新日

公開日
2014-05-16
更新日
-