文献情報
文献番号
201101035A
報告書区分
総括
研究課題名
大学病院総合診療外来におけるかかりつけ医導入効果の検討
課題番号
H22-政策・若手-029
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高田 俊彦(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
研究分担者(所属機関)
- 生坂 政臣(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
- 大平 善之(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
- 野田 和敬(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
- 高橋 知子(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
- 宮原 雅人(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
- 舩越 拓(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、我が国において医療費抑制は早急に対応すべき課題であるが、その対策の一つとして、患者が個々の病態に応じて適切な医療機関に受診する、医療機関の機能分担化が挙げられる。特に、今後の高齢化社会においては、かかりつけ医制度の確立が必要と考えられる。千葉大学医学部附属病院総合診療部(以下、当部)は特定機能病院の初診外来担当部門である。本研究は、当部受診時にかかりつけ医を持たない患者に対して、その導入を試み、大学病院総合診療外来のかかりつけ医導入効果を明らかにするものである。また、かかりつけ医導入に必要な条件を明らかにすることで、今後の制度確立に役立てることを目的としている。
研究方法
2年目にあたる平成23年度は、1年目より開始した外来でのアンケート調査および、かかりつけ医を持たずに当部を受診し、診察の結果かかりつけ医を持つよう推奨、紹介状を作成した患者に対する追跡調査を引き続き行い、終了後の統計学的解析を行った。
結果と考察
外来アンケート調査は当部受診患者1169名より有効回答を得た。約6割がかかりつけ医を持っていた。男性、若年、高学歴、有職者、未婚者でかかりつけ医を持たない傾向が認められた。かかりつけ医導入となったケースは123例であった。9割のケースでかかりつけ医導入に成功しており、大学病院総合診療外来のかかりつけ医導入効果を証明することができた。郵送アンケート調査では、55名より有効回答を得た。総合満足度に影響を与える要因としては、医師の相談しやすい雰囲気、事務職員の対応、診察後に不安が減った、の3項目が抽出された。かかりつけ医導入後半年間の受療行動については60名から有効回答を得た。半年間のかかりつけ医受診回数は平均4.2回、かかりつけ医からの他院紹介回数は平均0.53回、かかりつけ医の紹介なく他院を受診した回数は平均0.77回であった。60名のうち44名(71.0%)は他院受診をしておらず、半年間の受療行動はかかりつけ医のみと、当部におけるかかりつけ医導入の効果を立証するものであった。
結論
大学病院総合診療外来において、適応症例に対して9割と高いかかりつけ医導入効果を証明することができた。また、かかりつけ医導入後の患者満足度を高める要因として、医師の相談しやすい雰囲気、不安の解消が強い影響を持つ可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2012-11-06
更新日
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