人口構造の変化を踏まえた医療提供体制の戦略的構築

文献情報

文献番号
201101021A
報告書区分
総括
研究課題名
人口構造の変化を踏まえた医療提供体制の戦略的構築
課題番号
H22-政策・一般-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
印南 一路(慶應義塾大学 総合政策学部)
研究分担者(所属機関)
  • 梶井英治(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 小暮厚之(慶應義塾大学 総合政策学部)
  • 堀真奈美(東海大学 教養学部)
  • 古谷知之(慶應義塾大学 環境情報学部)
  • 神田健史(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 古城隆雄(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 阿江竜介(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 原田昌範(自治医科大学 地域医療学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,645,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本社会の少子高齢化は、地域の医療ニーズを激変させる。医療資源には限りがあるため、多くの地域で医療提供体制を再構築する必要がある。本研究の目的は、住民の健康を守る観点から、医療提供体制を再構築すべき地域を特定化し(重点支援地域)、特定化のための実践的な方法を開発し、実際に戦略的なプランを例示することにある。
研究方法
本年度は4つの分担研究から構成される。まず、第1の人口動態に関する研究では、高知県の市町村別死因別死者数のデータを用いて、Lee-Carter 法による死因別死亡率及び死亡数の将来予測を行った。第2の医療へのアクセスに関する研究では、交通・医療施設の空間情報や医療統計を含めた空間情報データベースを構築し、GISによる長野県の心筋梗塞と脳卒中の救急搬送の人口カバー率を計算した。第三の診療範囲と診療レベルから地域医療に従事する医師像を描く研究では、平成22年に大分県姫島診療所に受診した全患者の診療録から、提供された全診療内容を抽出した。第四の制度・政策に関する研究では、過去6年間に実際に開設された病院の実態を調査し、9病院の開設担当者にインタビュー調査を行った。
結果と考察
第一分担研究の結果、時間トレンドを表すパラメータ(t)やそれに対する感応度パラメータ(x)が,t あるいはx に対して急激に変動するという推定結果が得られた。2次医療圏別、疾病別の死亡数の予測が、不確実性の予測とともに示せることを明らかにした。第二分担研究の結果、長野県における脳救急車とドクターヘリを組み合わせた人口カバー率は心筋梗塞が96%、脳卒中は97%であった。第三分担研究の結果、入院患者は全303診療項目の53%、外来患者は85%に分類され、幅広い診療が提供されていることが明らかになった。特に、救急対応では、適切な治療レベルの診療が提供されていた。第四分担研究の結果、新規開設病院数は過去6年間で51病院と少なく、開設された都道府県に大きな偏りがあることが明らかになった。新たに都市計画法による開設制限が制定されたことから、この法律規制が病院開設に対する障害になる可能性がある。
結論
二次医療圏レベルの死因別死亡者数の推計、特定疾患を治療する医療施設のアクセス圏分析、地域で提供されている診療内容の把握、新規に医療機関を建設する際の課題の整理を行った。最終年度に医療提供体制の実践的プランを作成するために必要となる基礎資料と分析方法を確立できた。

公開日・更新日

公開日
2012-11-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101021Z