世帯所得と世帯員の健康の関連を踏まえた医療保障・所得保障施策の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201101016A
報告書区分
総括
研究課題名
世帯所得と世帯員の健康の関連を踏まえた医療保障・所得保障施策の在り方に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 健太郎(静岡県立大学 経営情報学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 秀夫(兵庫県立大学 経営学研究科)
  • 濱野 強(島根大学 プロジェクト研究推進機構)
  • 石田 祐(明石工業高等専門学校 一般科目)
  • 大久保 誠也(静岡県立大学 経営情報学部)
  • 武藤 伸明(静岡県立大学 経営情報学部)
  • 藤澤 由和(静岡県立大学 経営情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,967,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、孤立化の現状把握とそれが所得水準や生活実態とどのように関連するか、さらに健康問題とどのような関係性にあるかの検証を通して、ソーシャル・インクルージョンを実現することが可能となる、我が国における社会保障制度の在り方について実証的な提言を行うことを目的とした。
研究方法
本研究では、公的データを主として用い、その解析に関する方法論の検討、さらにデータの内容に関する解析の検討などを定量的な形で実施した。
結果と考察
本年度の主たる研究内容としては、研究班において入手した公的データの解析を通して孤立化に関する複眼的な視点からの検討を行った。その結果、我が国における孤立化に関連する社会的要因が明らかとなるとともに、我が国の孤立化の現状が定量的に明らかにされた。こうした社会的要因(所得、生活実態など)、及びその帰結(健康など)という複数の生活課題の中に孤立化を位置づけた本研究成果は、今後の目指すべき政策の方向性や優先順位を決定する際の有益な資料になると考えられた。さらには、公的データの高度利活用について検討を行ったところ、特定の小地域単位を軸とした生活様式(ライフスタイル構造)に基づくタイポロジーに基づいた分類を活用した場合であれば、多面的な広がりを有するデータ構築が可能であるとの知見が得られた。すなわち、今回の研究成果でも明らかな通り、孤立化は個人を取り巻く生活実態が大きな影響を有することから、ある種のライフスタイル構造を把握する分類を基軸として、各種データ群を整理することで、理論的・実証的な知見の融合を基盤とする知見が提起できると考えられた。
結論
社会保障制度に対する国民の関心は非常に高く、理論的・実証的な知見の融合を基盤とする厚生労働行政が求められている。そうした中で本研究は、厚生労働省統計情報部などが所管する公的データの二次利用を新たな手法を用いて、これまでとは異なる斬新な高度利活用に基づく解析を行うことで、政策形成過程における基礎的資料を提示することが可能となる。今後は、本研究によって得られた実証的知見と方法論を通して、ソーシャル・インクルージョンを実現するための社会保障政策の方向性をより具体的に明示化することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-11-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201101016B
報告書区分
総合
研究課題名
世帯所得と世帯員の健康の関連を踏まえた医療保障・所得保障施策の在り方に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 健太郎(静岡県立大学 経営情報学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 秀夫(兵庫県立大学 経営学研究科)
  • 濱野 強(島根大学 プロジェクト研究推進機構)
  • 石田 祐(明石工業高等専門学校 一般科目)
  • 大久保 誠也(静岡県立大学 経営情報学部)
  • 武藤 伸明(静岡県立大学 経営情報学部)
  • 藤澤 由和(静岡県立大学 経営情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、公的データの高度利用に基づき、孤立化の現状把握とそれが所得水準や生活実態、さらに健康問題とどのような関係性にあるかの検証を通して、ソーシャル・インクルージョンを実現することが可能となる、我が国における社会保障制度の在り方について実証的な提言を行うことを目的とした。
研究方法
本研究では、公的データを含む、複数の大規模データを用い、以下を実施した。公的データのデータ提供申請およびその利活用を可能とするデータの整理と検証、個別データセットの解析とその検討、複数のデータセットに適応しうる新たな方法論の検証と検討である。研究班で入手した公的データおよび他の公表されている統計データなどに基づき、わが国における社会的孤立の現状を改めて把握し、その背景を歴史的な視点を含めて複眼的な分析を実施しその結果の検討を行った。さらに社会的孤立を防ぐためにどのような社会保障政策を展開することが望ましいか考察し、家族政策の充実、ネットワーク型の社会保障政策の構築の提言を検討した。
結果と考察
各種データに基づき、わが国で進行する社会的孤立は、地域、家庭、職場で同時進行していることが特徴で、欧州諸国にみられるように社会の特定の階層ではなく社会全体で広範に進行していると考えられることを明らかにした。そのうえで、社会的孤立が進む背景について、戦後の日本社会の歩みを検証し、社会的孤立がある種の歴史的必然であることを考察した。
結論
わが国では主として個人のニーズに着目した社会保障政策が展開されてきたが、育児の孤立、介護の孤立では、それぞれ育児者と子ども、介護者と要介護者の社会的孤立が懸念されることから、家族を支援する視点を強化することが重要であると考えられる。また結婚すること、子どもを持つことが社会的孤立のリスクを軽減すると考えられるため結婚支援、育児の支援を強化することも必要である。さらにドイツの多世代の家にみられるように、家族を持たない者も含めて地域に家族のようなつながりを促進する政策も重要である。これらを総合し家族政策の充実が必要との提言を行った。また従来の現金給付、現物給付中心の社会保障政策から発想を転換し、社会保障関係者のネットワーク、住民主体の地域ネットワークを柱とするネットワーク型の社会保障政策を提言した。

公開日・更新日

公開日
2012-11-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201101016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我が国における孤立化に関連する社会的要因が明らかとなるとともに、孤立化の現状が定量的に初めて明確になった。こうした社会的要因(所得、生活実態など)、及びその帰結(健康など)という複数の生活課題の中に孤立化を位置づけた本研究成果は、今後の目指すべき政策の方向性や優先順位を決定する際の有益な資料になるものと考えられる。
臨床的観点からの成果
本研究は、臨床研究でないことから、該当しない。
ガイドライン等の開発
本研究では、臨床研究や疫学研究でないことから、ガイドライン等の開発は該当しない。
その他行政的観点からの成果
本研究では、公的データの高度利用について検討を行い、小地域単位を軸とした生活様式(ライフスタイル構造)に基づくタイポロジー区分を活用した場合であれば、多面的な広がりを有するデータ構築が可能であるとの知見を示した。今後は、ライフスタイル構造を把握するタイポロジーを基軸として、各種データ群を整理することで行政施策の効率的推進が図られることが期待される。
その他のインパクト
本研究では、学術論文への発表を行ったが、マスコミ発表、公開シンポジウムの開催などは該当しない。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
藤本健太郎, 濱野強, 藤澤由和
我が国における「孤立化」の社会的要因に関する定量的検討
経営と情報 , 23 (1) , 61-67  (2010)
原著論文2
藤本健太郎
ドイツの医療保険制度改革における2つの方向性について
経営と情報 , 24 (1) , 1-12  (2011)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101016Z