文献情報
文献番号
201101015A
報告書区分
総括
研究課題名
中高齢世帯における医療・介護サービスアクセスの公平性に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 英樹(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 近藤 克則(日本福祉大学 社会福祉学部)
- 野口 晴子(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,560,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、50歳以上75歳以下の中高齢者を対象に、医療・介護サービスへのアクセス公平性や負担の公平性がわが国においてどの程度達成されているか否かを検討することで、中高齢者におけるわが国の公的医療・介護保障の成果と課題を明らかにすることを目的とした2年計画事業である。
研究方法
2年目となる23年度では、当初人口動態統計などの個票申請を併せて実施し、「暮らしと健康調査」(JSTAR)の死亡脱落例に関するフォローを行い、属性や医療利用による死亡・罹患率の違いについて検討を加える予定であったが、協力自治体から住民票請求による死亡者同定のための協力を得ることができず、計画を断念せざるをえなかった。一方、23年度ではwave 3調査を一部協力自治体で実施するとともに、国民健康保険加入者ならびに後期高齢者医療制度被保険者について、対象者・自治体・広域連合の了解を得て、医療給付情報を入手し、所得や家族構成・地域による医療資源利用の衡平性に関する検討を進めた。
結果と考察
既存のデータを用いた昨年度検討では、外来受療確率は比較的高度に所得による衡平性は保たれていたが、受療回数は高所得者で回数が多かった。今年度一部の自治体について、給付情報を元に再検討を行ったところ、ほぼ同様の結果が得られた。パネルデータを利用して、歯科アクセスについて検討加えたところ、歯の状態を考慮したうえでなお高所得層で利用が多い不衡平が見られたが、要因分解を行ったところ、学歴などによる説明力が強かった。また資産をベースにしたほうが所得をベースにしたときよりも、アクセス格差が際立って見えたが、要因分析の結果、経済的購買力による差よりも、生涯所得・出身階層の影響を反映している可能性が示唆された。
結論
医療サービスへのアクセス公平性は所得によらず比較的高度なものが達成されていたが、受療回数には所得による違いが見られた。医療・歯科サービス、介護サービスの利用差し控えについては、所得による理由に加えて、健康リテラシーも原因と考えられた。高齢化・経済停滞による家計経済の低迷などを前に、わが国の医療制度の衡平性を今後堅持していくためにニーズに基づくサービス利用と応分の負担を担保する制度設計が求められている。
公開日・更新日
公開日
2012-11-02
更新日
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