低所得者、生活困窮者の実態把握及び支援策の在り方に対する調査研究

文献情報

文献番号
201101012A
報告書区分
総括
研究課題名
低所得者、生活困窮者の実態把握及び支援策の在り方に対する調査研究
課題番号
H22-政策・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
駒村 康平(慶應義塾大学 経済学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沼尾波子(日本大学 経済学部)
  • 丸山桂(成蹊大学 経済学部)
  • 山田篤裕(慶應義塾大学 経済学部 )
  • 冨江直子(茨城大学 人文学部)
  • 金井郁(埼玉大学 経済学部)
  • 岩永理恵(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部)
  • 四方理人(関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構)
  • 田中聡一郎(立教大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2年計画2年目の研究目的は、1)低所得者や生活困窮者の生活実態の把握、2)所得保障・生活支援に関する政策分析、3)社会福祉と労働の理念についての考察、の3つである。
研究方法
1)低所得者や生活困窮者の生活実態の把握
公的統計等の個票データを利用して、中高年齢層男性の貧困リスク、住宅保障に関する分析、非典型労働者の所得保障と年金制度、子どもの学習時間の格差に関して実証研究を行った。また、地域包括ケアの構築に関してヒアリング調査を実施し政策研究も行った。
2)新たな所得保障・生活支援に関する政策分析
生活保護受給者に対する就労支援・住宅支援・教育支援の政策分析を行ったとともに、生活保護経験に関する調査、ひとり親被保護世帯の就労行動の実証分析を行った。また、ドイツ・スウェーデンにおける公的扶助と就職支援の取り組みに関してヒアリング調査を実施した。
3)社会福祉と労働の考察
障がい者雇用の先進事例に関してヒアリング調査を行い、歴史研究を通じた現代日本の生活保障における「労働」の意味づけの考察行った。
結果と考察
1)低所得者や生活困窮者の生活実態の把握
中高年齢層男性の貧困リスクを推計し、求職者支援制度の貧困抑制効果についてシミュレーションを行った研究は、長期間の給付もしくは就労の開始がないかぎり、貧困率の抑制効果は限定的となることがわかった。また、低所得者向け住宅政策の検証からは、公営住宅の入居基準の見直しや民営社宅に入居する低所得者に対して、家賃補助政策が必要であることが示唆された。
2)新たな所得保障・生活支援の構築
生活保護受給者に対する就労支援・住宅支援・教育支援に関する政策分析によって、効果的な自立支援のあり方に役立つと期待される。ドイツとスウェーデンの公的扶助と就労支援の連携についても考察しており、国際比較による検討も可能となる。
3)社会福祉と労働の理念
障害のある人びとの働く権利をめぐる議論の検討を通じて、「労働」の権利性について論じており、福祉と労働のあり方について検討することが可能となる。
結論
本研究からは、中高年齢層男性の貧困リスク、住宅保障に関する分析、非典型労働者の所得保障と年金制度、子どもの学習時間の格差等の実証研究および就労・生活支援等に関する政策研究から幅広い知見を得た。これらの知見は、低所得者や生活困窮者に対する新たな政策を議論するうえで大変有益であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2012-11-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201101012B
報告書区分
総合
研究課題名
低所得者、生活困窮者の実態把握及び支援策の在り方に対する調査研究
課題番号
H22-政策・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
駒村 康平(慶應義塾大学 経済学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沼尾 波子(日本大学 経済学部)
  • 丸山 桂(成蹊大学 経済学部)
  • 山田 篤裕(慶應義塾大学 経済学部)
  • 冨江 直子(茨城大学 人文学部)
  • 金井 郁(埼玉大学 経済学部)
  • 岩永 理恵(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部)
  • 四方 理人(関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構)
  • 田中 聡一郎(立教大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、1)新たな貧困指標の開発、2)今後、整備されることが考えられる新たな所得保障・生活支援に関しての実証研究、3)新たな所得保障・生活支援を支える社会保障の理念の考察、である。2年計画の1年目は、基礎的研究と応用研究において、2年目は、実証研究・政策研究において研究成果を出した。
研究方法
1)新たな貧困指標の開発
公的統計や独自に実施したインターネット調査の個票データを利用した実証分析ヒアリング調査に基づく政策研究を行った。
2)新たな所得保障・生活支援
生活保護受給者に対する就労支援・住宅支援・教育支援の政策分析を行ったとともに、生活保護経験に関する調査、ひとり親被保護世帯の就労行動の実証分析を行った。また、ドイツ・スウェーデンにおける公的扶助と就職支援の取り組みに関してヒアリング調査を実施した。
3)新たな所得保障・生活支援を支える社会保障の理念の考察
障がい者雇用の先進事例に関してヒアリング調査を行い、労働と福祉のあり方について検討した。
結果と考察
1)新たな貧困指標の開発
主観的最低生活費の計測・等価尺度の推計から、個票データ分析に基づく等価尺度を検討した。また、中高年齢層男性の貧困、非典型労働者のセーフティネット、地域包括ケアの構築等の研究から、低所得者・生活困窮者の生活実態の把握を行った。
2)新たな所得保障・生活支援の構築
自治体ヒアリング調査によって生活保護の支援施策を確認し、新たな就労支援、住宅支援、教育支援のあり方について検討した。そして、生活保護受給経験に関する調査、被保護母子世帯の実態と就労に関する実証分析から、貧困連鎖や制度変更による就労行動の変化を観察することができた。
3)新たな所得保障・生活支援を支える社会保障の理念の考察
障がい者福祉についてのヒアリング調査を実施し、戦後日本における「労働権」の意味づけをめぐる議論と、障がいのある人びとの働く権利をめぐる議論の検討を通じて、「労働」の権利性について論じた。
結論
本研究からは、1)新たな貧困指標の開発、2)今後、整備されることが考えられる新たな所得保障・生活支援に関しての実証研究、3)新たな所得保障・生活支援を支える社会保障の理念の考察の3つのユニットから、基礎研究、実証研究、政策研究を実施し幅広い知見を得た。これらの知見は、低所得者や生活困窮者に対する新たな政策を議論するうえで大変有益であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2012-11-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-03-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201101012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究からは、1)新たな貧困指標の開発、2)今後、整備されることが考えられる新たな所得保障・生活支援に関しての実証研究、3)新たな所得保障・生活支援を支える社会保障の理念の考察の3つのユニットから、基礎研究、実証研究、政策研究を実施し幅広い知見を得た。これらの知見は、低所得者や生活困窮者に対する新たな政策を議論するうえで大変有益であると考えられる。
臨床的観点からの成果
該当なし。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
研究成果の一部は、社会保障審議会生活保護基準部会の資料として提出した。具体的な資料名等は以下のとおりである。
・第6回社会保障審議会生活保護基準部会資料3 山田委員提出資料「主観的最低生活費の測定」
・第6回社会保障審議会生活保護基準部会資料4 道中委員提出資料「被保護母子世帯のける貧困の世代間連鎖と生活上の問題」
・第6回社会保障審議会生活保護基準部会資料5 駒村委員提出資料「生活扶助基準の設計について-標準世帯と生活規模の考慮」
その他のインパクト
2012年2月に、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会・日本子ども家庭総合研究所主催の子ども家庭福祉研究講演会『子どもの健康と社会福祉?安心して暮らせる社会のために?』にて、分担研究者の山田が研究成果について講演を行った。

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
駒村康平・道中隆・丸山桂
被保護母子世帯における貧困の世代間連鎖と生活上の問題
三田学会雑誌 , 103 (4) , 51-77  (2011)
原著論文2
丸山 桂
低所得者向け住宅手当について
成蹊大学経済学部論集 , 41 (2) , 169-186  (2010)
原著論文3
四方理人・田中聡一郎
生活保護受給世帯のストック・フロー分析
三田学会雑誌 , 103 (4) , 587-600  (2011)
原著論文4
四方理人・駒村康平
中年齢層男性の貧困リスク-失業者の貧困率の推計
日本労働研究雑誌 , 616 , 46-58  (2011)
原著論文5
丸山 桂
短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大問題
年金と経済 , 30 (4) , 16-22  (2012)
原著論文6
丸山 桂・駒村康平
自営業者の生活保障と年金保険料納付行動
三田学会雑誌 , 104 (4) , 31-62  (2012)

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101012Z