文献情報
文献番号
201101002A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護・検診情報を接合した総合的パネルデータ構築と地域医療における「根拠に基づく健康政策(EBHP)」の立案と評価に関する研究
課題番号
H21-政策・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 康志(東京大学大学院経済学研究科 現代経済専攻)
研究分担者(所属機関)
- 甲斐 一郎(東京大学大学院医学系研究科)
- 小林 廉毅(東京大学大学院医学系研究科)
- 石崎 達郎(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 鈴木 亘(学習院大学経済学部)
- 両角 良子(富山大学経済学部)
- 湯田 道生(中京大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,479,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は福井県の全面協力の下、医療・介護費と検診情報に関する総合的データベースの整備とそれに基づいた政策立案・政策評価を定量的に示すことを課題としている。
研究方法
前年度までに構築した医療保険・介護保険・特定健診データを個人単位で接合したパネルデータを用いた分析を進めた。医療と介護の費用構造の連関の研究では、社会的入院に焦点をあてた。さらに政策変更の定量的把握のために、サービス提供体制に関係する研究、保険制度に関係する研究に取り組んだ。また、質問票調査で得られた社会経済的要因と医療・特定健診の情報とを接合し、その関係を調べる研究に取り組んだ。
結果と考察
「老人医療における社会的入院の規模」では、2007年度の70歳以上の国保加入者のレセプトデータを集計し、社会的入院の規模を推計した。現在も決して少なくない規模の社会的入院が存在していることが明らかとなった。しかし、先行研究が福井県について計算した1993年度の割合よりも約半分~2/3ほど低いものになっており、介護保険の導入などが社会的入院の減少に寄与した可能性がある。
「通所リハビリテーションのアクセス改善が介護費用に与える影響」では、介護予防通所リハビリテーションのサービス提供の開始によって通所リハビリテーションの保険請求額が増加する一方、保険請求額の減少が大きいことから、合計額で減少することがわかった。また、医療費には関連する変動は観察されなかった。新規のサービス提供が、介護サービスの種類の変更や費用の軽減に結びついたと考えられる。
「地域への参加と健康に関する生活の質・生きがい感の関係」では、地域での活動頻度が、健康に関する生活の質や生きがい感とどのように関連するかを検討した。県下5自治体に在住で国民健康保険に加入する前期高齢者を対象とした自記式質問紙調査を解析した結果、就労や地域活動への参加頻度が高い程、健康に関する生活の質および生きがい感が有意に高かった。
「通所リハビリテーションのアクセス改善が介護費用に与える影響」では、介護予防通所リハビリテーションのサービス提供の開始によって通所リハビリテーションの保険請求額が増加する一方、保険請求額の減少が大きいことから、合計額で減少することがわかった。また、医療費には関連する変動は観察されなかった。新規のサービス提供が、介護サービスの種類の変更や費用の軽減に結びついたと考えられる。
「地域への参加と健康に関する生活の質・生きがい感の関係」では、地域での活動頻度が、健康に関する生活の質や生きがい感とどのように関連するかを検討した。県下5自治体に在住で国民健康保険に加入する前期高齢者を対象とした自記式質問紙調査を解析した結果、就労や地域活動への参加頻度が高い程、健康に関する生活の質および生きがい感が有意に高かった。
結論
本研究では、介護保険の導入が社会的入院の減少に寄与したことや適切なサービス提供が費用の軽減に結びついたことが示唆される等、良質で効率的なサービス提供を図る施策が効果をもつことが示唆された。また、高齢者の生活の質を高める施策として就労や地域活動への参加頻度を高めることが有効であることが示唆される等、地域医療行政の立案に資する知見を得ることができた。
公開日・更新日
公開日
2012-11-02
更新日
-