性暴力被害者が安全にかつ安心して必要なケアを受けられるシステム構築のための調査研究

文献情報

文献番号
201036036A
報告書区分
総括
研究課題名
性暴力被害者が安全にかつ安心して必要なケアを受けられるシステム構築のための調査研究
課題番号
H22-健危・若手-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高瀬 泉(山口大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 性暴力は20代女性の低体重,更年期障害,ひきこもり,うつ,アルコール依存症などの背景に潜んでいる可能性があり,女性の健康づくりに関する施策へ貢献できる可能性がある。さらに,休職・退職せざるを得ないこともあり,雇用・労働施策にも関わる問題である。
 性暴力救援センター大阪ではこうした被害者に対してカウンセリング・弁護士・然るべき行政機関等を紹介しており,本研究を施行する意義はあると考える。
 本研究において被害者が必要とするケアを提供し,その対応経験に基づくガイドラインを作成することで,他の関係諸機関においても適切な対応が行われると期待される。そして,関係諸機関を訪れる被害者が増え,性暴力被害の潜在化や同様の事件発生の抑止につながる可能性もあり, Public Safetyという観点からもその果たせる役割は大きいと考える。
 また,今般のチーム医療の推進という点においてもモデルを示すことができると考える。
研究方法
 初年度は当初の計画に沿い,実際に対応にあたったスタッフらから対応上の問題点を抽出した。また,性暴力被害者の医療費全体に占める公的支援および自己負担の割合についても検討した。さらに,都道府県警察による公的支援内容について情報収集を行った。
 
結果と考察
 平成22年4月から23年3月までに,のべ1463件の電話相談が寄せられ,そのうち来所に至ったのはのべ387件であった。特筆すべきこととして,被害者の再診率の高さ(約87%)が挙げられた。一方,主な対応上の問題点として警察へ届けない場合の採取試料の保存・保管が挙げられた。連携については,警察および他の支援機関と率直な意見交換を行う場が設けられ,互いの役割を再確認できた。最後に,被害者による医療費の自己負担が全体の約70%(残り約30%が公的負担)を占め,また,被害者の10%が10万円以上を支払っていた。都道府県警察によっては引っ越しの費用まで支援していることも分かった。
結論
 性暴力救援センター大阪での対応は評価されつつある可能性が示唆された。また,センター内外で協力・連携体制の礎が築かれつつあると考えられた。
 今後は,被害者の自己負担,診断書等記載方法,専門家証言のあり方を検討課題としたい。

公開日・更新日

公開日
2011-07-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201036036Z