感染症危機管理シミュレーション訓練の研究

文献情報

文献番号
201036035A
報告書区分
総括
研究課題名
感染症危機管理シミュレーション訓練の研究
課題番号
H21-健危・若手-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 健一(日本医科大学 医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医療機関における効果的な感染症危機対策の実施を目標に、日本の実情に合わせた医療関係者向けの感染症危機管理シミュレーション訓練の開発をめざした。現在国内では医療関係者の卒前、卒後教育に適した感染症対策教育プログラムに関して標準化された教育パッケージは確立されておらず、それを開発することに本研究の特色がある。また当初は本プログラムを医学生教育ツールとして確立させ、その後に職員向けの訓練プログラムとして発展させることで、医学生や医療関係者に対する医療安全文化を醸成することが可能となると思われる。
研究方法
2年目の本年度は本プログラム実施に関してのアンケート調査を分析し、本プログラムのインパクトを評価した。その後、試行錯誤をもとに問題点等を改善したのちプログラムをパッケージ化し、学生や職員に演習を試みることを目標とした。また他施設や医療機関以外における実施可能性も検討した。この際、特に日本の医療現場の実情に即した形でプログラムを再考し、また理論よりも現実問題にどのように対処すべきかを中心にプログラムの改善を進めた。最終的には、本プログラムを臨床の経験度に応じてレベル化し、それぞれ学生用、研修医用、病院職員用等の各パッケージとして開発する事を目的とした。
結果と考察
本年度は約300名の2年次、3年次医学部学生、及び3年次看護学生に対して行った。その上でアンケート等の分析を実施した。また、学会や論文作成、取材等を積極的に受け、本ドリルの普及活動に努めた。さらに、集大成として本ドリルのパンフレットおよびDVDを作成し(添付参考)、パッケージ化に取り組み、全国80の医学部における教育関連部門に連絡を取り、紹介パンフレット及びDVDの配布を希望する大学に送付した。また本学ホームページに特色ある授業の紹介という形で活動模様を掲載するよう進めている。
結論
本ドリルに対する参加者の定量的評価、及び自由記述式のアンケート結果から、3部構成(講義、技術指導、演習)の本ドリルは非常に教育効果の高い手法であると考えられた。また参加者は感染症危機管理の重要性を文字通り「体で覚える」事になる為、このようなシミュレーション型教育は、学習体験の強化において非常に有用な教育手法だと思われた。医療関係者が日頃から効果的な感染症危機管理訓練を受けることで、院内感染対策に限らずその他の医療安全に対する安全文化も醸成できると思われた。

公開日・更新日

公開日
2011-07-19
更新日
-

文献情報

文献番号
201036035B
報告書区分
総合
研究課題名
感染症危機管理シミュレーション訓練の研究
課題番号
H21-健危・若手-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 健一(日本医科大学 医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では2年の期間で感染症危機管理シミュレーション訓練プログラムの開発と普及を目指すこととした。成果物としての演習型の訓練プログラムを医療関係者の教育ツールとして用いることで、従来の院内感染対策や医療安全に対する安全文化を醸成することも可能であり、その後の学習にも良い波及効果が現れると考えられる。
研究方法
1年目は関連文献検索及び先行研究のレビューを実施した。その後、欧米各国の感染症危機管理教育パッケージの先進事例に対し現地調査、実地訪問を行い、これらの比較事例研究を実施し本プログラムの開発を実施した。2年目は本プログラム実施と共に実施後のアンケート調査を分析し、本プログラムのインパクトを評価した。その後、試行錯誤をもとに問題点等を改善したのちプログラムをパッケージ化し、学生や職員に演習を試みることを目標とした。最終的には、本プログラムを臨床の経験度に応じてレベル化し、それぞれ学生用、研修医用、病院職員用等の各パッケージとして開発する事を目的とした。また、2年目の目標として、演習をパッケージ化し、パンフレット及びDVD化やネット上に載せるなどして、その普及に努めることとした。
結果と考察
本プログラム実施後の定量的アンケート結果より、パンデミック時の医療現場を疑似体験する場、およびソフトスキルを学ぶ場として本ドリルを行うことには妥当性があると考えられた。また、ドリルの理解度に関しても、本ドリルはパンデミックがもたらす医療機関へのインパクトや、医療資源の有限性、良いコミュニケーションの価値等の、講義だけでは必ずしも理解が難しい要素に対しても、参加者にイメージさせることが出来ると考えられた。なかでも、「他職種とのチームワークの重要性」を理解させるには本ドリルは特に効果があると思われた。さらに、感染防御技術の早期習得や、パンデミックの知識レベルの定着についても、本ドリルによる効果があると考えられた。
結論
アンケート結果および参加者の感想意見等より、感染症危機管理の重要性を理解させるにあたり、3部構成(講義、技術指導、演習)の本プログラムは効果的な教育手法である事が考えられた。このようなシミュレーション型教育は、学習体験の強化において非常に有用な教育手法だと思われた。

公開日・更新日

公開日
2011-07-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201036035C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本プログラムの様な、一度に100人規模の大人数に対してパンデミック時の臨床現場を学習できる教育プログラムは未だ我が国では確立されておらず、そのようなプログラムをパッケージとして開発したことが、本研究の最大の専門的・学術駅成果であると考える。また、本プログラムをDVD化する事で、プロセスを再現可能な形にして普及活動に努めた事も大きな成果であった。
臨床的観点からの成果
本プログラムは、座学形式の講義のみでは理解が難しいパンデミック時の臨床現場を、シミュレーション形式の演習により疑似体験できるという点が、臨床的視点から非常に教育効果が高いプログラムであると考えられた。また一般的な感染防御技術以外や臨床現場の経験以外にも、リーダーシップ、チームワーク、コミュニケーションの重要性といった事項を学ぶにあたり、大変有効であった。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
医療機関では新型インフルエンザやバイオテロの発生による大規模な健康危機発生を想定し、感染症強化対策の必要性が著しく高まっている。これら危機発生時における迅速な対応を可能にするには、医療関係者が日常的に効果的な感染症危機管理訓練を受けている必要がある。本プログラムを医学生や看護学生のうちから経験する事で、実際にパンデミックが発生した時の病棟における疑似体験が可能になるという意味で、行政施策に合致すると思われる。
その他のインパクト
本プログラムは以下をはじめとする多くのマスコミに取り上げられた。週刊医学会新聞(第2866号)、読売新聞全国版(2010.4.20)、学校広報VIEW(No. 133)、Nursing College(Vol.14 No. 1)。またプログラムの内容が評価され、平成22年度東京都医師会グループ研究賞を受賞した。特に最終年度の平成22年度は積極的に本プログラムの普及活動を実施した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-08-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
201036035Z