健康危機発生時における地域健康安全に係る効果的な精神保健医療体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
201036023A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機発生時における地域健康安全に係る効果的な精神保健医療体制の構築に関する研究
課題番号
H22-健危・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
金 吉晴(独)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 寛(兵庫県こころのケアセンター)
  • 鈴木 友理子(独)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
  • 中島 聡美(独)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
  • 伊藤 弘人(独)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 社会精神保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、健康危機発生時に、効果的かつ効率的な精神保健サービス提供を目指し、事前の研修プログラムの開発、災害時精神保健システムの構築を行い、この効果を実証的に検討することを目的とする。
研究方法
地域精神保健および災害精神保健領域の初期対応に関する研修プログラムの開発法および効果評価法を先行研究や公開されている資料をもとに検討する。日本の保健行政で、実施可能な形での研修様式を検討し、研修体制を構築し、プログラム評価の指標を選定するために、研修理論を整理して、評価方法およびデザイン、そして評価指標について検討する。災害対応体制に関して、国、県、市町村、外部支援の役割分担のケーススタディを行う。行政評価のデザインの検討、災害精神保健に関するクリティカルパス等の検討を行う。
結果と考察
災害精神保健医療マニュアル改訂版の内容に基づき、研修体制の準備を行い、研修会方式、e-learningの二つの様式を整備した。研修のプログラム評価の測定指標について検討したところ、災害精神保健や平常時の精神保健に関する対応の研修法について科学的に効果を検証した研究は非常に限定されていた。そこで、わが国で行われた先行研究を参考にして、健康危機時の精神保健対応に関する知識4項目、自己効力感3項目を選定した。また、研修理論を整理して、次年度のプログラム評価では量的分析に加えて質的分析を行い、研修プログラムを洗練化していくことが妥当であると考えられた。研修内容については、特に「初期対応」、「支援者のストレス対応」領域の研修ニーズが高かった。しかし、「災害精神保健体制の構築」については管理者向けに研修を行う優先度は高く、直接支援者がこれについて理解することも役割分担を理解するうえで重要であると考えられた。
結論
災害精神保健医療マニュアル改訂版に則した研修体制を構築し、その評価には量的、質的両面のアプローチをとることが妥当であると考えられた。大型自然災害発生時の支援の流れについて、各フェーズにおける各関係組織の役割のポイントを整理し、課題を整理した。今後は、今年度作成した初案に、災害対応において大きな役割を果たしているDMATや日本赤十字社、さらにメディアの対応を加えて、より災害対応の全体像の中における精神保健支援の位置づけや各組織の役割を明確にしていく必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-07-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201036023Z