健康危機事象の早期探知システムの開発・普及に関する研究

文献情報

文献番号
201036020A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機事象の早期探知システムの開発・普及に関する研究
課題番号
H22-健危・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
浅見 泰司(東京大学 空間情報科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡山 一明(財団法人救急振興財団救急救命九州研修所)
  • 有川 正俊(東京大学 空間情報科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 健康危機情報を自動収集し、空間関係を分析・評価して健康危機事象の早期探知に資するシステムを開発し、有効性を評価する。このため、ウェブ版SDMSであるWebSDMSSを開発する。また、健康危機事象の分析も行い、システム開発の方向性について有用な知見を得る。
研究方法
 空間ドキュメント管理システム(SDMS)の操作性や機能を継承したウェブ版のSDMS、WebSDMSS(ウェブ空間ドキュメント管理共有サービス)を開発し、健康危機対策業務において、地理空間情報を日常的に利用でき、意思決定を適切に迅速に行える利用者環境の実現をめざす。また、小学校の健康異常の児童欠席数データを用いて、インフルエンザ流行期における欠席状況の分析を行った。
結果と考察
 WebSDMSSの構築では、空間ドキュメント管理機能に加え、ウェブドキュメント共有機能を実現し、アクセス制御機能を取り入れた。また、掲示板やブログの機能も取り入れており、WebSDMSSをプラットフォームにして、リアルタイムな情報共有が実現できる環境を実現した。Google Mapsを利用し世界地図の表示が可能になった。
 2009年の新型インフルエンザ流行時では、8月28日には既に2つの小学校で学校内流行拡大があった。また、学校内流行、地域流行への移行を視覚化できた。
結論
 SDMSのWeb版である、WebSDMSSの開発を中心に行った。また、ProMEDなどいくつかの健康危機ニュースを対象に評価実験も行い、その有効性の確認を行った。今後、WebSDMSSのさらなる改良を施し、全体として使いやすい、実用的性が高いシステムへの進化をめざす。また、地名抽出および経緯度生成の精度向上、地名語辞書の充実を行う。さらに、異常性を自動的に検出する枠組みを検討し、健康危機行政の意思決定する利用者環境を実現する。
 健康危機事象の分析については、地域健康危機管理においては、健康危機事象の時間的および空間的な把握が重要であり、実データを用いた分析モデルの構築は、健康被害の拡大抑止のための有効な手段となる。感染症の流行においては、地域間の影響は無視できない要素であり、地域間の人の移動量を考慮した分析を行っていく。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201036020Z