大都市部における自然災害等健康危機発生時の保健活動体制と方法に関する研究

文献情報

文献番号
201036011A
報告書区分
総括
研究課題名
大都市部における自然災害等健康危機発生時の保健活動体制と方法に関する研究
課題番号
H21-健危・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 美砂子(千葉大学 大学院看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
  • 春山 早苗(自治医科大学看護学部)
  • 藤田 美江(北里大学看護学部)
  • 牛尾 裕子(兵庫県立大学看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大都市部における健康危機発生に対して、自然災害に焦点をあてて、災害発生時の保健活動体制と活動方法を大都市部の特性を踏まえて明らかにすることを目的とした。
研究方法
5つの分担研究を行った結果、成果は以下のように総括された。
結果と考察
(1)大都市部における災害時の保健活動体制と方法構築のための検討の進め方:初期:問
題意識の活性化と取組課題・目標の明確化、中盤期:自組織(自治体・地域)に焦点をあてた災害時保健活動の現状分析と対応策の具体的検討、活動指針となり得る成果物の産出、終盤期:成果の公表と評価・振り返り・次なる課題の明確化、の段階を経るのが効果的である。
(2)派遣・応援職員との協働体制づくりにおける本庁の統括部署の役割:本庁、保健所、市町村各々の自治体組織内での災害時の統括者と各役割の明確化、情報集約や指示命令を簡潔かつ系統的に行う工夫、長期的な支援に備えた活用できる人員確保の工夫が必要である。
(3)大都市部の災害発生時における感染症対策における保健活動:感染症の発生状況・蔓延状況の把握、感染拡大に伴う他の保健所や複数の保健所・他都道府県との連携体制、業務量増大に伴う人員確保等の体制整備等に関する大都市ながではの保健活動方法が抽出された。
(4)患者に対する災害時避難シミュレーションからみた大都市部における要援護者への支援方策:個別避難支援計画策定では、自宅待機の推奨に発想を切り替え、発災後3日間を自宅で乗り切る方法について具体的に方策を検討していく必要性が示唆された。
(5)保健師を含む自治体職員へのこころの支援:災害発生後の対策として、メンタルヘルスを維持する勤務体制の確保、気持ちを吐き出す機会の設置、職員に対する災害後の精神保健研修、外部からの専門家による専門的個別的支援の必要性が導出された。
結論
大都市部では職能を組織的に活かす役割意識の醸成や役割発揮に必要な平常時と異なる活動体制の構築が必要である。統括部署では役割を認識し、平時から県下の連携を含めた体制整備を強化することが望まれる。シミュレーション実施は当事者、地域住民、医療や行政関係者それぞれが災害をイメージ化し、自らの役割を具体的に考え、連携を取る契機をつくる方法として有用である。保健師等自治体職員は、平常時から職場内の良好なコミュニケーション維持、危機的状況下での精神保健に関する研修受講等に努めることがメンタルヘルス確保の点で大事である。

公開日・更新日

公開日
2011-07-22
更新日
-

文献情報

文献番号
201036011B
報告書区分
総合
研究課題名
大都市部における自然災害等健康危機発生時の保健活動体制と方法に関する研究
課題番号
H21-健危・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 美砂子(千葉大学 大学院看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
  • 春山 早苗(自治医科大学看護学部)
  • 藤田 美江(北里大学看護学部)
  • 牛尾 裕子(兵庫県立大学看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、大都市部における健康危機発生に対して、自然災害に焦点をあてて、災害発生時の保健活動体制と活動方法を大都市部の特性を踏まえて明らかにすることを目的とした。
研究方法
自然災害の中でもマグニチュード7クラスの地震発生を想定し、大都市部に特徴的な保健活動上の課題、フェーズの進展、健康福祉ニーズ、被災地外からの派遣者を含む保健活動の体制について、大都市部の組織や保健師配置の現状を踏まえて検討することとし、6つの分担研究課題に取組んだ。
結果と考察
発災後から初動可能な職員数の限定、被災者の膨大な数と流動性などの課題が予測された。派遣保健師を効果的に活用するには、被害規模に応じた比率により派遣保健師を配分すると共に活動の優先度を見極め、他の職種との連携を強化した保健活動を展開する必要がある。感染症対策においては、感染症の発生状況・蔓延状況の把握、感染拡大に伴う他の保健所や複数の保健所・他都道府県との連携体制、業務量増大に伴う人員確保等の体制整備及び発生した感染症の業務と被災に関わる保健活動との両立などが求められる。要援護者の個別避難支援計画では発災後3日間を自宅で乗り切る方法を具体的に検討することが重要と示唆された。避難支援のシミュレーションは当事者、地域住民、医療や行政関係者それぞれが災害をイメージ化し、自らの役割を具体的に考え、連携を取る契機をつくる上で有用である。保健師を含む自治体職員へのこころの支援では、メンタルヘルスを維持する勤務体制の確保、気持ちを吐き出す機会づくり、職員に対する災害後の精神保健研修、外部からの専門家による専門的個別的支援が必要である。災害発生時に向けた保健活動体制と方法構築の進め方は、問題意識の活性化と取組課題・目標の明確化、自組織に焦点をあてた災害時保健活動の現状分析と対応策の具体的検討、活動指針となり得る成果物の産出、成果の公表と評価・振返り・次課題の明確化、の過程を踏むのが有効である。
結論
大都市部においては行政分野の保健師こそが対応すべき課題を明確にし、他職種・団体・住民との連携を強化した保健活動の展開が必要である。平常時の配属部署を越えて災害時には保健師職能としての機能を発揮できる体制構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-07-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201036011C

収支報告書

文献番号
201036011Z