学校教育と医療機関・医療行政・関係諸機関との連携に関する研究

文献情報

文献番号
199700884A
報告書区分
総括
研究課題名
学校教育と医療機関・医療行政・関係諸機関との連携に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
真下 真澄(高崎市立寺尾中学校)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 エイズ対策研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エイズサーベランスの報告を見てもエイズの患者感染者は確実に増加しており、しかも20代の患者感染者が全体に占める割合に多さを考えてみても、21世紀をいきる子供たちへのエイズ対策の必要性を痛感せざるをえない。この現状を踏まえたとき、すべての医療関係者・諸機関と学校が一つの土壌にたった検討や評価が必要であり、委員会の設置は急務である。そこで、「エイズ評価・検討委員会」の組織を設置し、医療機関・医療行政・医療関係者・医療諸機関と教育の連携・連動のありかたを模索し、より効果的なエイズ対策の推進を図っていくことを目的として研究する。特に、拠点病院(国立高崎病院)との連携・連動を強化していくことによりエイズ対策の推進を図るものである。
研究方法
(1)医療機関・医療行政・医療関係者と教育関係者から構成される、地域におけるエイズ対策に関する「評価・検討委員会」を設置。(2)「評価・検討委員会」を開催(4回)し、地域のエイズ対策に関する問題点を整理し検討する。(3)医療機関・医療行政・医療関係者と教育関係者の連携による解決策の試行。(試行例)・保健所との連携による広報誌「AIDS」の発行(年3回)35000 枚の配布、児童生徒23000人へ配布と 10000 所帯への回覧、200軒の医療関係窓口への設置、地区公民館等での掲示。・医療機関・医療行政・医療関係者・関係諸機関との連携によるボランテイア活動・地元医療機関・老人ホームへの慰問、地元拠点病院との連携によるキルトの作成・使用済みテレホンカードの収集。・医療機関・医療行政・医療関係者・関係諸機関との連携による世界エイズデーへの参加。イルミネーションと子供たちによるレッドリボンの意識化。・ボランテイア活動への参加・拠点病院(国立高崎病院)との連携による体験学習(4)「評価・検討委員会」を開催(4回)し、解決策の試行の結果を評価。
結果と考察
○保健所との連携による広報誌の発行→〔平成8年度〕エイズ教育広報委員会の活動を中心に行われた。平成 5、6、7年度エイズ(性)教育推進地域事業の継続として広報誌『AIDS』を発行すること、西部保健所との連携で紙面づくりをすることを確認した。紙面づくりでは、グラフや写真、絵などを多用し、一目でわかるように工夫することや用紙はオレンジ色の紙を使用することとした。〔平成9年度〕第1回の会議で今年度は「学校でのエイズ教育の取り組み紹介」を小、中、高等学校の順に載せて、広く家庭や地域への啓発をねらうこととした。公民館や医療機関にも掲示してもらえるようになり、紙面の充実を確認した。[成果]・広報誌「AIDS」が公民館や医療機関等、人目に触れる場に掲示してもらえるようになり、啓発の場が広がった。・平成9年度の世界エイズデーinたかさきのイベントでは街頭キャンペーンを中心にレッドリボンつくりやメッセージカード作りなど、全市をあげての活動にひろがり「人間尊重を基盤としたエイズ教育の推進」が図れた。・西部保健所と紙面づくりをすることにより、連携が深められた。・エイズについては20代や30代の人の意識が低いことから、これからも繰り返し広報活動を通して、啓発していくことが必要であろう。○医療機関・医療行政・医療関係者・関係諸機関との連携による世界エイズデーへの参加。イルミネーションと子供たちによるレッドリボンの意識化→連携団体〈高崎市エイズ(性)教育推進委員会・高崎市健康教育推進委員会・高崎市学校保健会・高崎市教育委員会事務局・高崎市教育委員会(社会教育課・学校教育課・青少年課)・高崎市役所(市長公室・児童保育課・健康課・広報公聴課)・公民館・医療機関(医師会・歯科医師会・薬剤師会)・学校(小中高養護学校63校)・PTA連合会・各学校PTA・保健所・国立高崎病院・
高崎商店街連盟(高崎中部名店街・西一条商店街他15商店街)・青年3団体(高崎青年会議所・高崎ロータリークラブ(高崎・南・北・東・シンフォニー)・2000年委員会〉以上25団体による活動となった。レッドリボンのツリーを3カ所に設置し、活動のシンボルとした。1本はデパート前の大木で市内でも名所であり、十分に啓発の効果があったと思われる。もう1本は拠点病院(国立高崎病院)の前庭に置かせていただいた。国立高崎病院では、患者さんを始め医師、看護婦さんなどの病院関係者の人たちが、みんなでレッドリボンをツリーに飾り付けて下さるなど、病院ぐるみでエイズについて考えることができた。さらに、このことを病院の看護婦さんが『クリスマスツリーに飾り赤きリボン エイズ対策の願い込めて』という短歌にして機関誌に投稿し、全国にも高崎市が行った世界エイズデーの活動が広められる出来事となった。他の活動としては、商店街の主催によるチャリティーバザールが行われた。また、同日の朝夕には
高崎駅や繁華街での街頭キャンペーンを行い、児童生徒たちが作ったレッドリボンとメッセージカードの配布をおこなった。クリスマスには,シティーギャラリーでのコンサート会場にツリーを集め、再び啓発活動を行った。世界エイズデーに向けての学校での取り組みは、・各学校の実状にあわせてレッドリボンとメッセージカードを作成・活動の趣旨を生かした授業、特別活動、学校保健委員会等による指導・教育の実践・人権教育等にあわせた取り組み・児童生徒・教職員自ら11月21日より、期間中、胸にレッドリボンをつけて、意思表明・啓発活動を行うなどであった。また、報道機関による取材や紙面発表にも
応じ、広く活動を広めた。〇エイズ教育指導作成委員会の活動→・小中高校の教員を対象にアンケート調査を実施。・エイズ教育の資料として掲示用パネルの作成・エイズ教育用資料としてのパンフレットの作成・エイズ予防啓発ポスターを採用したカレンダー(高崎市民24万世帯・各種団体3万枚)を配布〈成果〉レッドリボンの活動への予想を上回る参加があったことからも、エイズ教育に対する各学校・団体の取り組みが浸透してきたことのあらわれであると感じる。また、民間団体の協力や援助が大きな推進力になった。パネルは授業で活用しただけでなく地域の方々にエイズの問題を知ってもらうために活用された例も報告されている。それぞれの学校が工夫して活用してくれることを期待し、さらに、説明プリントなどの補足も加えていきたいと考えている。○拠点病院(国立高崎病院)との連携→学校関係者・保健所・教育委員会・PTA連合会・学校保健会と、国立高崎病院との話し合いが行われ、協力体制についての意見交換がなされた。このように、病院の中にまで活動の輪を広げ、共にエイズについて考えることができたことは画期的なことであり、病院関係者の方々の多大な協力なくしては実現できなかった。・世界エイズデーへの参加について(レッドリボンツリーの設置・患者、職員に対しての啓発)担当の医師や看護婦の方々が積極的に活動して下さり、大変大きな成果が挙がった。・病院との学習会「エイズについての基礎知識」参加者(国立高崎病院医師、小学校児童7名、小学校教員2名、事務局1名)実際の患者・感染者に接している人から、正しい知識や考え方を聞くことができて、エイズ学習がより深いものとなった。
また、医師と学校職員(養護教諭、保健主事)との学習会も開催され、それぞれの立場からの意見交換ができ、大変有意義であった。
結論
(1)ねらいと組織の一体化-推進委員会の意図することが各機関の活動を通して実践が図れた。(2)ねらい達成のための連携・連動の工夫→連携・連動の方法は可能な限り、学校・諸機関(病院、保健所)行政(児童保育課、健康課)教育委員会(社会教育課)等とねらいにあわせて連携した活動を図った。特に、拠点病院と高崎市の三師会(医師・歯科医師・薬剤師)との横の連携を深めることができた。(3)意識の高揚を図る手だて→様々な広報活動を通して、24万市民の意識の高揚の一助とした。来年度は、これらの活動は市民活動として、国立病院との連携をとり、世界エイズデーを開催する予定である。

公開日・更新日

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