文献情報
文献番号
201036001A
報告書区分
総括
研究課題名
災害・重大健康危機の発生時・発生後の対応体制及び健康被害抑止策に関する研究
課題番号
H20-健康・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 米厚(鳥取大学 医学部社会医学講座環境予防医学分野)
研究分担者(所属機関)
- 大井田隆(日本大学 医学部公衆衛生学公衆衛生学)
- 奥田博子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
- 須藤紀子(国立保健医療科学院 生涯保健部)
- 櫻井 裕(防衛医科大学 衛生学)
- 木下浩作(日本大学 医学部救急医学)
- 田畑好基(三重県 伊勢保健所)
- 榛沢和彦(新潟大学 医歯科系呼吸循環器外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
大規模災害の直後から長期にわたる2次的健康被害の実態を明らかにし、災害後の支援活動の実際を把握し、平常時に準備される支援計画を調査し、災害後の健康被害を最小限にするための、行政を中心とした対応の在り方を検討する。
研究方法
阪神淡路大震災の超過死亡は人口動態統計死亡票を用いて震災以前と比較し検討した。被災者の深部静脈血栓症(DVT)検診を実施した。都市一般住民に対し参加型の災害時のトリアージ訓練を実施した。平常時に災害支援計画を準備している自治体の保健師の面接調査、災害時の栄養支援についての市町村の準備状態と保健所の支援について郵送調査を実施した。
結果と考察
震災の超過死亡は、急性心筋梗塞、脳梗塞、肺炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、胃十二指腸潰瘍でみられた。推定超過死亡数は、震災直接死亡数の2倍以上であった。新潟県中越地震、中越沖地震の被災者の震災直後のDVT頻度は震災により異なったが、周辺地より高く、数年以上遷延した。DVTは、若年者の脳梗塞の発生に関わっていた。避難所の環境や避難者の精神的ストレスが関連することが示され、防止するための対応が考察された。自然災害発生時の対応システムの構築するために、一般市民参加型の災害医療講習会や応急処置方法の実践プログラムを実施し、有効性が示唆された。災害への準備事例は要援護者、特定疾患患者、医療機器装着患者など災害弱者への対策準備、保健福祉体制整備、防災地区モデル活動、水害時保健師活動マニュアル等であった。促進要因は、所内外体制整備、情報共有、地区情報整備、実態調査、普及啓発媒体の作成、健康教育、地域づくり活動、県の支援、予算化、当事者要因、関係者との連携強化、専門家の助言、具体的なイメージづくり、保健師の役割等も重要であった。災害時の栄養・食生活支援に対する市町村の準備状況と保健所からの技術的支援に関する全国調査を実施し、部局間連携調整が重要で、栄養士の市町村配置が基盤となり、炊き出し等には学校栄養士の役割が期待される。災害時要援護者の把握は、規模の小さい自治体ほど進んでおり、詳細な情報システムの構築が望まれる。
結論
災害後の健康被害の実態がわかり、防止することの重要性が示された。平常時に災害支援計画を作っておくことが重要で、様々な促進要因を動員しての連携準備が必要である。栄養支援計画も事前に立てておくことも必要である。
公開日・更新日
公開日
2011-07-22
更新日
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