カーボンナノマテリアルによる肺障害と発がん作用の中期評価法とその作用の分子機序解析法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201035026A
報告書区分
総括
研究課題名
カーボンナノマテリアルによる肺障害と発がん作用の中期評価法とその作用の分子機序解析法の開発に関する研究
課題番号
H22-化学・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
津田 洋幸(公立大学法人名古屋市立大学 津田特任教授研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 今泉 祐治(公立大学法人名古屋市立大学大学院薬学研究科細胞分子薬効解析学研究室)
  • 酒々井 眞澄(公立大学法人名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野)
  • 二口 充(公立大学法人名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
44,590,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
単層または多層カーボンナノチューブ(SW/MWCNT)とフラーレン(C60)について、機序に基づく毒性、発がん性の中期評価法の開発の目的で、1)肺マクロファージ負荷試験(PMT)、9日間経気管内噴霧(IPS)による肺胞上皮の変化、および発がんプロモーション作用の検索からなる一連の評価系の開発、2)アレルギー反応と炎症免疫関連サイトカインの把握、3)気管支上皮細胞のイオンチャンネル障害に注目した毒性評価を実施している。
研究方法
1)形態の異なる3種のS/MWCNT(-N日機装、-7三井)、1種のC60(フロンティアカーボン)について、ラットを用いてチオグリコレート誘導にて採取したマクロファージ培地にSW/MWCNTとC60を添加後の炎症性サイトカイン発現解析、9日間IPSによる肺胞上皮と中皮細胞の増殖、被検物質の発がんプロモーション作用を検索した。併せてMWCNTのコポリマー分散液を篩板非濾過、濾過に分け各分画のPMTを行った。2)ヒト単球由来細胞株THP-1細胞にTiO2およびSiO2を加え、炎症性サイトカイン産生量を測定した。3)MWCNT気道内投与ラットの気道繊毛上皮細胞の一次培養においてイオンチャネルとイオントランスポーターのmRNA発現を検討した。
結果と考察
1)PMT:SWCNT-Nでは神経関連遺伝子、MWCNT-NとC60では細胞増殖関連因子、MWCNT-7では炎症性サイトカインの発現をみたが共通因子は無かった。9日間投与試験:炎症、線維化、肺胞上皮の増殖、他臓器への移動等を解析中である。MWCNT-NのDNAチップ解析では各分画に共通して増殖系とサイトカイン系遺伝子群が見出された。2)TiO2およびSiO2によるTHP-1細胞のIL-8産生がわずかに増加した。3)RT-PCR解析にてKir2.1および数種のK+チャネルmRNA発現を検出し、細胞内Ca2+濃度が上昇することを見いだし、毒性評価の基礎データを得た。
結論
肺マクロファージへの曝露試験では検体に共通する因子は無かったが、MWCNT-Nの異なる濾過分画では共通の炎症性サイトカインの遺伝子発現があった。ヒト単球由来細胞株にTiO2およびSiO2によってIL-8産生量がわずかに増加した。MWCNT-N曝露の繊毛気管上皮のK+チャネル、細胞内Ca2+濃度変化において毒性評価を進める基礎データを得た。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201035026Z