個体の成長期における神経系および肝臓系細胞の機能解析による化学物質の健康影響評価法に関する研究

文献情報

文献番号
201035025A
報告書区分
総括
研究課題名
個体の成長期における神経系および肝臓系細胞の機能解析による化学物質の健康影響評価法に関する研究
課題番号
H22-化学・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
宇佐見 誠(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 薫(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
  • 諫田 泰成(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
  • 石田 誠一(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
  • 宮島 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
  • 簾内 桃子(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
39,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成長期における健康被害は長期間にわたる場合や、恒久的な障害が起こる場合があるため、化学物質の適切な健康影響評価は非常に重要である。一方、個体の成長期は動物実験の結果からヒトへの外挿が難しい時期である。そのため、化学物質による毒性発現メカニズムの解明に基づく健康影響評価法が必要である。
本研究では、(1)神経堤細胞の遊走等機能解析法、(2)発達成長期脳神経系ニューロン・グリア新生評価法、(3)学習等の高次機能に影響を与える神経幹/前駆細胞を用いた方法、(4)成体における代謝データを利用可能な成長期の肝臓による化学物質代謝の解析法、を確立する。神経系および肝臓系の細胞を用いることにより、発生・発達・再生過程の神経系においてのメカニズムのみならず薬物動態を考慮したヒトへの外挿を可能とする、化学物質の健康影響評価法の確立を目指す。
研究方法
本年度は、実験系の確立および基礎的データの収集を行った。神経提細胞の機能解析法として、ラット神経提細胞遊走実験法を検討した。ニューロン・グリア新生実験法として、緑色蛍光タンパク標識細胞を用いた前脳矢状面切片培養法を検討した。神経幹/前駆細胞の培養法として、ヒトEC細胞を用いた評価系を検討した。ヒト胎児由来培養肝細胞の特徴を明らかにするために、細胞内代謝物についてメタボローム解析を行った。成長期の薬物代謝酵素系を調べるために、成長期ヒト肝細胞を収集した。
結果と考察
毒性発現機序の解析法として有用な、ラット神経提細胞遊走実験法を確立した。大脳皮質層構造を保持し、in vivo に近い状態で培養可能な、前脳矢状面切片培養法を確立した。ヒトEC細胞株NteraT2/clone D1からヒト神経幹/前駆細胞のモデルとなる細胞を構築した。ヒト胎児肝細胞のメタボローム解析の結果、胎児肝細胞では、成人肝細胞に比べ化学物質の解毒に関与する胆汁酸の生合成及びグルクロン酸抱合能が低いことが示唆された。妊娠後期の肝細胞では、細胞の調整法の検討が必要であった。
結論
ラット神経堤細胞遊走の簡便な実験法を確立した。生後初期脳のオリゴデンドロサイト新生のin vitro 評価系を確立した。ヒトEC細胞から神経幹/前駆細胞を作製した。ヒト胎児および成人肝細胞のメタボローム解析により、胎児肝細胞由来の細胞と成人肝細胞との代謝の違いを示した。成長期ヒト肝細胞を収集し、遺伝子解析サンプルの調製法を検討した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201035025Z