ステロイドホルモン受容体に作用する化学物質の構造活性相関に基づく毒性評価システムに関する研究

文献情報

文献番号
201035023A
報告書区分
総括
研究課題名
ステロイドホルモン受容体に作用する化学物質の構造活性相関に基づく毒性評価システムに関する研究
課題番号
H22-化学・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
早川 和一(金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
研究分担者(所属機関)
  • 細井 信造(京都薬科大学 薬学教育研究センター)
  • 鈴木 信雄(金沢大学 環日本海域環境研究センター)
  • 杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部第3室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、多環芳香族炭化水素(Polycyclic aromatic hydrocarbon: PAH)類のようにステロイド系ホルモン受容体に結合してかく乱作用を発現する医薬品や化学物質の毒性発現の有無を予測可能とする方法として、構造-活性(酵母two-hybrid法によるエストロゲン様/抗エストロゲン作用)相関に基づく構造パラメータによるスクリーニングと魚のウロコに対する毒性試験を組み合わせた方法を開発することを目的とする。また、評価システムの信頼性向上を目的に、被検化合物の純度検定法を開発する。
研究方法
PAH(16種)とその酸化代謝物である水酸化体(OHPAH)65種、キノン体(PAHQ)20種、ケトン体(PAHK)9種を対象として、次のことを行った。
1.酵母two-hybrid法を用いたエストロゲン様/抗エストロゲン作用の強さを測定。
2.活性が認められた化合物について、構造活性相関を解析。
3.魚のウロコを用いた毒性評価システムを構築して、エストロゲン様/抗エストロゲン作用との相関を解析。
4.核磁気共鳴(NMR)で市販試薬の絶対純度を求める方法を開発し、本評価対象物質にフィードバック。
結果と考察
1.酵母two-hybrid法を用いた結果、PAH及びPAHKはエストロゲン様/抗エストロゲン活性のいずれも示さなかったが、OHPAHとPAHQのいくつかはエストロゲン様活性または抗エストロゲン活性を示した。
2.活性を示したOHPAHとPAHQについて、構造活性相関があり、構造パラメータとして、環数、L/B比及びO-H 距離の3つの値が、活性予測に有効なことがわかった。
3.魚の再生ウロコを用いた評価システムを構築し、いくつかのPAH及びOHPAHを適用した結果がそれらの活性の有無と一致することがわかった。
4.定量NMRを開発し、これを用いていくつかの市販OHPAHの純度を求めた結果、記載がないものについては活性値の補正を必要とする場合があることがわかった。
結論
PAH酸化代謝物について、酵母two-hybrid法を用いたエストロゲン様/抗エストロゲン活性に基づく構造パラメータから活性予測が可能であり、また、魚の再生ウロコを用いた評価システムの結果と一致することがわかり、それぞれ一次スクリーニング、二次スクリーニング法としての有用性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201035023Z