出生コホートによる難分解性有機汚染物質(POPs)ばく露の次世代影響の検証

文献情報

文献番号
201035018A
報告書区分
総括
研究課題名
出生コホートによる難分解性有機汚染物質(POPs)ばく露の次世代影響の検証
課題番号
H21-化学・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 洋(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 細川 徹(東北大学 大学院教育学研究科)
  • 村田 勝敬(秋田大学 大学院医学系研究科)
  • 奈良 隆寛(宮城県立こども病院)
  • 福土 審(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 仲井 邦彦(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 黒川 修行(宮城教育大学 教育学部)
  • 浅山 敬(東北大学 大学院薬学研究科)
  • 龍田 希(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
29,530,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胎児期および新生児期は、中枢神経系が発達する時期であり、化学物質ばく露に対して感受性が高い。海外における先行研究により、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール(PCB)などの難分解性有機汚染物質(POPs)やメチル水銀などの重金属の周産期ばく露が出生児の成長と発達に影響することが報告されている。我々は、我が国におけるPOPsおよびメチル水銀のばく露に起因した健康影響の有無を明らかにするため、周産期における化学物質ばく露を評価するとともに、出生児の成長と発達を追跡するコホート調査を進めている。
研究方法
コホート調査では、妊娠22週目の女性に調査への協力を依頼し、599組の母子が登録された。出生児が生後3日目、7ヶ月、18ヶ月、30ヶ月、42ヶ月、そして66ヶ月で調査を実施してきた。平成22年度は、主に平成20年より継続している生後84ヶ月調査を進めた。生後84ヶ月調査では、Wechsler Intelligence Scale for Children, Third edition (WISC-III)、Boston Naming Test(BNT)、Continuous Performance Test(CPT)、聴覚誘発電位、事象関連電位、血圧測定などの調査を実施してきた。平成22年度で調査は終了となり、最終的に546家族に案内を送付し、455件の調査を実施した(参加率83.7%)。また、授乳に伴う出生後のばく露影響を調べるために、母乳中PCBを測定しており、平成22年度で解析が終了した。
結果と考察
生後84ヶ月調査で実施している各検査と臍帯血PCBや母親の毛髪総水銀との関連性をまだ途中であるが検討した。WISC-IIIでは、臍帯血総PCBと言語性IQの間に正の関連がみられたが、交絡要因で補整するとその関連性は消失した。BNTでは、毛髪総水銀と負の関連がみられた。CPTでは、反応時間と毛髪総水銀およびPCBでそれぞれ関連がみられた。
結論
周産期における化学物質ばく露の影響と子どもの成長、発達との関連性を明らかにすることを目的とし、コホート調査を継続した。調査では高い参加率を維持することができた。さらに、化学分析も順調に解析が進んでいる。平成23年度は生後84ヶ月で採取した対象児の毛髪による水銀分析を進める。現在精査中の母乳中PCB等のデータが揃った時点で、最終的な解析を進める計画である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201035018Z