有害作用標的性に基づいた発達期の化学物質暴露影響評価手法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201035017A
報告書区分
総括
研究課題名
有害作用標的性に基づいた発達期の化学物質暴露影響評価手法の確立に関する研究
課題番号
H21-化学・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 淳(国立大学法人 東京農工大学 大学院 農学研究院 動物生命科学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 勉(星薬科大学 薬品毒性教室)
  • 手島 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
  • 渡辺 渡(九州保健福祉大学 薬学部動物生命薬科学科)
  • 西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,560,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達期の神経毒性、免疫毒性、発がん性に関して、動物を用いた暴露実験を行い、有害作用を受ける標的細胞系譜の同定とその影響メカニズムの解明に基づいた評価系の構築を目指す。
研究方法
22年度は、In vivo神経発達評価ではラットやマウスを用いて、既に実施しているマンガン(Mn)やアクリルアミド(ACR)の他、新たにクロルピリフォス (CPF)について、海馬歯状回での分子発現解析を実施した。Mnではマウスでゲノムのメチル化解析、ラットでは脳内免疫評価系の確立も進めた。In vitro神経発達評価では、ニコチンを用いて各種初代培養やマウス神経幹細胞、ES細胞分化誘導による評価系の構築を図った。免疫機能評価ではCPF、感染感受性評価ではCPFとメタミドフォス(MDP)につき、マウスを用いてそれぞれ細胞性免疫のサブセットの解析、肺胞洗浄液のサイトカイン解析を行った。発がん感受性評価では、ラットENU経胎盤投与モデルを利用してMnの解析を終了し、ニコチン実験を開始した。
結果と考察
In vivo神経発達評価では、検索物質の全てでニューロン新生・移動への影響を検出し、今までにないニューロン新生障害物質の検出系としての活用を目指す。また、今後の活用に期待の高いエピジェネティックな分子変化、更には脳内免疫に関わる指標も新たに見出している。In vitro神経発達評価では、ニコチンの評価により神経分化の際の運命決定に与える影響の検出を可能とした。免疫機能評価では、CPFの評価によりCD4陽性T細胞のサブセットの存在比率の変化が標的検出に有効と判断された。感染感受性評価では、MDPとCPFの評価により感染初期でのサイトカイン変動の高感度の検出性が見出された。発がん感受性評価では、ENUの経胎盤投与により安定した中枢神経腫瘍誘発性を確認したが、Mnの評価では影響は認めなかった。
結論
In vivo及びin vitro神経発達評価では、用いた指標の新規神経発達影響評価系としての有効性を見出し、殊にエピジェネティックな分子変化の検出は意義が高い。免疫機能と感染感受性評価では、それぞれCD4陽性T細胞のサブセットの存在比率、感染初期でのサイトカイン変動の反応性に期待が高い。発がん感受性評価ではMnの評価を終了した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201035017Z