文献情報
文献番号
201035010A
報告書区分
総括
研究課題名
情動・認知機能を定量化する包括的な行動毒性試験の構築
課題番号
H20-化学・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
掛山 正心(東京大学 大学院医学系研究科 疾患生命工学センター・健康環境医工学部門)
研究分担者(所属機関)
- 小川 園子(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
- 舩橋 利也(聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科)
- 塚原 伸治(埼玉大学大学院理工学研究科)
- 前川 文彦(独立行政法人国立環境研究所環境健康研究領域)
- 上村 夕香理(東京大学大学院医学系研究科)
- 尾藤 晴彦(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
26,210,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
子どもの発達に対する化学物質の影響について、行動・組織・細胞機能レベルの客観的評価を組み合わせて、情動・認知行動に対する毒性を体系的に評価するための評価手法の構築を行うことを目的とした。本年度は、これまで構築してきた行動試験法の妥当性について、ビスフェノールA曝露実験を行い確認した。また、一連の評価手法の結果の整合性について整理検証し、「まとめ」を行うことを目的とした。
研究方法
本年度は主に、ビスフェノールAを用いた行動試験手法の検証、微細形態解析と脳内モノアミン測定による行動変化の検証を中心にすすめた。本課題で得られた成果の全体を再検討して、影響評価手法の構築、ならびにダイオキシン、ビスフェノールAの発達期曝露による影響に関する新知見の二つの観点からまとめを行った。
結果と考察
行動試験成績に対応する形で、基底レベルの脳内モノアミン変化があることを確認した。また微細形態にも変化を認めた。そして、3年間の「まとめ」を行った。(1)影響を見逃さないための精緻な行動試験バッテリーを提示した。(2)行動変化の意味を科学的に説明するための組織・細胞・分子レベルの評価手法を提示した。(3)その成果をもとに簡易試験のプロトタイプを開発、提示した。通常の「試験バッテリー」や網羅解析は、ターゲット(化学物質)個々の性格を比較するためのものである。一方本研究の試験バッテリーは、影響を見逃さないことを主眼として構築したユニークなものである。
結論
本研究で構築した評価手法は行動表現型を科学的に説明するという視点に基づいており、ダイオキシン影響に特化したものではなく、様々な化学物質に適用可能である。これはビスフェノールAの発達期曝露実験により確認することができた。
また、ダイオキシンやビスフェノールAの発達期曝露によって加齢後に微細形態変化があらわれたことは、胎児期の化学物質曝露が脳の老化に影響を及ぼす可能性、すなわち晩発性影響の可能性を示す重要な知見である。
また、ダイオキシンやビスフェノールAの発達期曝露によって加齢後に微細形態変化があらわれたことは、胎児期の化学物質曝露が脳の老化に影響を及ぼす可能性、すなわち晩発性影響の可能性を示す重要な知見である。
公開日・更新日
公開日
2011-05-31
更新日
-