99mTc製剤の実践的な放射化学的純度測定法の検討

文献情報

文献番号
201034073A
報告書区分
総括
研究課題名
99mTc製剤の実践的な放射化学的純度測定法の検討
課題番号
H22-医薬・若手-017
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横塚 記代(国際医療福祉大学 保健医療学部 放射線・情報科学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
放射性医薬品のQC に放射化学的純度(RCP)がある。既に報告されている佐治らによる指針では99mTc 製剤のRCP 値測定方法は提案されているものの、要する時間が不明なものや長いものが多い。本研究では99mTc-HMDP、99mTc-MAA、99mTc-ECDの3製剤に絞り、実践的なRCP測定法を検討する。先ずは、99mTc-HMDPと99mTc-HSAの製剤についての簡便なRCP測定法を検討し、有用な結果が得られたので、報告する。
研究方法
 RCP測定の最初の工程である標識化合物の分離の精度を保つための条件を検討した。その後、臨床現場で所有している放射能測定機器であるシンチレーションカメラおよびキュリーメータで測定した値を用いて算出したRCP値を比較し、同等の値として算出されるか否か、両者の機器を用いて精度よく放射能を測定する方法について検討を行う予定であった。これらは、放射性医薬品の種類によって変わることが想定されるため、臨床現場で特に必要性がある3つの製剤(99mTc-HMDP、99mTc-HSA、99mTc-ECD)を使用して検討を行った。
結果と考察
99mTc-HMDPについて、指針の方法では展開に約60分を要した。本研究で作成した展開溶媒のなかで最も短時間かつ良好な分離をした溶媒は、1M塩化アンモニウム溶液:1M尿素:氷酢酸=70:28:2であった。さらに、セルロースHPTLCを用いると、約15分で展開を行えることが分かった。その時のRCP値は95.0%±0.59、指針の溶媒で94.4%±0.42であり、T検定の結果、両者のRCP値に有意な差は認められなかった。
99mTc-HSAについて、指針の方法では約80分を要した。展開溶媒にアセトンを用いたPC法を行うことによって、5分で展開が可能であった。キュリーメータで放射能を測定した値から算出したRCP 値は、75%メタノールで98.60±2.43%、100%アセトンで99.06±1.30%となり、T検定を行ったところ、P 値=0.79( > 0.05)となり、有意差はなかった。
結論
99mTc-HMDP においては、HPTLC と新たな展開溶媒を用いることで、指針の方法で実施した場合よりも約1/4 の時間で同等の測定精度を得ることができた。99mTc-HSA においても、新たな展開溶媒を用いることで、指針の方法よりも約1/16 の時間で実施が可能であった。この時に使用するろ紙や薄層板は、その保存湿度による影響が少なく、展開溶媒は数回の繰り返し使用ができる可能性が証明されたことから、より簡便なRCP 測定法を提案できたといえる。

公開日・更新日

公開日
2011-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201034073Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,950,000円
(2)補助金確定額
1,950,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
購入備品であるMOドライブシステムの納入遅れによって、次年度事業への繰越となった。

公開日・更新日

公開日
2014-06-10
更新日
-