新しく開発されたHib、肺炎球菌、ロタウイルス、HPV等の各ワクチンの有効性、安全性並びにその投与方法に関する基礎的・臨床的研究

文献情報

文献番号
201034071A
報告書区分
総括
研究課題名
新しく開発されたHib、肺炎球菌、ロタウイルス、HPV等の各ワクチンの有効性、安全性並びにその投与方法に関する基礎的・臨床的研究
課題番号
H22-医薬・指定-028
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
庵原 俊昭(国立病院機構三重病院)
研究分担者(所属機関)
  • 神谷 齊(国立病院機構三重病院 (前研究代表者))
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所)
  • 谷口 孝喜(藤田保健衛生大学医学部)
  • 中山 哲夫(北里生命科学研究所)
  • 中野 貴司(川崎医科大学)
  • 大石 和徳(大阪大学微生物病研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
23,759,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 侵襲性インフルエンザ菌b型(Hib)感染症、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)およびロタウイルス感染症は小児期の代表的なワクチン予防可能疾患であり、肺炎球菌肺炎およびヒトパピローマウイルス(HPV)感染による子宮頸がんは成人期の大切なワクチン予防可能疾患である。ワクチン導入によりこれら感染症の流行疫学や流行する細菌の型や薬剤耐性、ウイルスの血清型に及ぼす影響を検証すること、および、世界で広く行われている不活化ワクチン筋注法の安全性を明らかノすることを目的とした。
研究方法
 小児侵襲性細菌感染症の調査は、インフルエンザ菌、肺炎球菌(SP)、B群連鎖球菌(GBS)を対象に、北海道、福島、新潟、千葉、三重、岡山、高知、福岡、鹿児島、沖縄で行い、分離された起因菌の細菌学的検討を行った。ロタウイルス感染症の調査は津市、松阪市、伊勢市で行い、検出されたロタウイルスの血清型の検討を行った。また、ワクチンの接種方法についても検討を行った。
結果と考察
 調査した10道県においてHibワクチンの導入によっても対象地区全体では発症率に大きな変化がないこと、沖縄県ではIPDの頻度が他県に比して高いこと、肺炎球菌ワクチン後のBreakthrough感染例が数例あり、多くはワクチンに含まれている血清型6Bであること、今後市中では19AなどのPCVに含まれない血清型の肺炎球菌が増加する危険性があること、Hib、肺炎球菌ともに化膿性髄膜炎の第一選択薬であるメロペネムに耐性を持つ菌が検出されたことを示した。ロタウイルス感染症については、2009年の流行型は今までと異なる血清型のG3P[8]が流行し、欧米の流行株と同じクラスターに属していた。不活化ワクチンの筋注に関しては、pHが生理的範囲ではなく浸透圧が高い抗生剤や解熱剤の筋注により大腿四頭筋短縮症が発症したことを明らかにし、pHが中性で等張のワクチンでは局所反応が少ないことを示唆した。成人へのワクチン接種率を高めるためには情報提供が大切であった。
結論
 今後も、Hibワクチン、PCVの接種率向上による侵襲性感染症発症者数、起因菌の血清型や薬剤耐性などの流行疫学の変化を捉えていくこと、ロタウイルスの流行疫学の変化について検討を続けること、アジュバントを含むワクチンの局所反応軽減に向け、筋注接種の安全性について検討を行うことが大切である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034071Z