睡眠障害治療薬の臨床試験及び評価方法のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201034070A
報告書区分
総括
研究課題名
睡眠障害治療薬の臨床試験及び評価方法のあり方に関する研究
課題番号
H22-医薬・指定-027
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
三島 和夫(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上雄一(財団法人神経研究所)
  • 大川匡子(滋賀医科大学睡眠学講座)
  • 大熊誠太郎(川崎医科大学薬理学教室)
  • 清水徹男(秋田大学大学院医学系研究科病態制御医学分野精神科学講座)
  • 中林哲夫(国立精神・神経センター治験管理室)
  • 平田幸一(獨協医科大学医学部神経内科)
  • 石郷岡純(東京女子医科大学医学部 精神医学教室)
  • 本多 真(財団法人東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、睡眠薬の開発と臨床試験を支援するため、最新の睡眠科学、睡眠医療の成果に立脚した新たなガイドラインの策定を目的とした。国際共同治験の推進及びドラッグ・ラグの解消を通じて睡眠薬の国内医療への円滑な導入を図るために、日米EU医薬品規制調和国際会議ガイドライン、米国医薬食品局及び欧州医薬品審査庁の見解と同局から発出された既存の臨床評価ガイドラインも精査し、米国国立衛生研究所の臨床試験登録データベース、公表論文等も活用することで、国際基準に準じたガイドラインの策定をめざした。これらの作業を通じて新たに「睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン」を策定した。
研究方法
非臨床試験から第IV相試験に至るまでの各試験段階において必要とされる臨床評価方法、試験デザインに関する問題点を抽出し、睡眠医学の最新のエビデンスに立脚して改訂を図った。国際共同治験の推進、ドラッグ・ラグの解消を通じて睡眠薬の国内医療への円滑な導入を図るために、ICHガイドライン、海外の臨床評価ガイドラインや規制当局の見解も精査し、国際基準を満たすガイドラインの策定をめざした。特に、主要3 極のうち米国そして欧州連合における医薬品開発の考え方を把握するために、米国医薬食品局及び欧州医薬品審査庁から公表されている臨床評価ガイドラインについて調査した。睡眠薬の開発に際して実施する臨床試験で考慮すべき事項について、睡眠医学、臨床及び基礎薬理学、臨床研究支援の各立場の専門家によるコンセンサス形成をめざした。
結果と考察
本研究班では、「睡眠薬」として開発される新医薬品の有効性及び安全性を検討するため、臨床試験のデザイン設計、臨床評価等について現時点で妥当と思われる方法とその一般的指針をまとめた。本ガイドラインに準じることにより、臨床試験を科学的かつ倫理的に行い、質的向上が図られ、国際的にも一定の評価が得られることが期待される。ただし、睡眠障害の臨床研究は今後も急速に進歩することが予想され、新しい検査法や治療法が導入される時点において、本ガイドラインも適宜改訂されるべきである。また、本ガイドラインの運用に当たっては、合理的な根拠がある場合、必ずしもその内容に拘ることなく柔軟な対応が望まれる。
結論
睡眠薬の開発と臨床試験を支援するため、最新の睡眠科学、睡眠医療の成果に立脚した「睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン」を策定した。

公開日・更新日

公開日
2011-06-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201034070C

成果

専門的・学術的観点からの成果
新規睡眠薬の開発のトレンドは、現在主流であるベンゾジアゼピン系薬剤から、新規アミン・ペプチド受容体を標的とした薬剤にシフトしている。既存の睡眠薬はリスク-ベネフィット比が不良であることがメタ解析等で明らかにされているほか、認知症や発達障害など睡眠障害の発現率が高いにもかかわらず有効な治療法が開発されていない疾患も数多い。本研究で策定した臨床試験ガイドラインはこれらの臨床的ニーズを満たす効果的な新規睡眠薬の開発を支援するものであり、今後の医薬品開発に大きく資することが期待される。
臨床的観点からの成果
国内では、昭和63年に策定された「睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン」があるが、この間に不眠症の臨床病態研究が進み、診断基準及び睡眠脳波判定法の改訂がなされた。また、国内の臨床試験及び医薬品審査体制の整備が進むなど新薬の開発環境も大きく変化している。本研究で策定した新規ガイドラインでは、このような現状を鑑みて、試験デザインや判定基準を含めて抜本的な見直しを行った。
ガイドライン等の開発
睡眠薬の開発と臨床試験を支援するため、最新の睡眠科学、睡眠医療の成果に立脚した「睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン」を策定した。
その他行政的観点からの成果
国際共同治験の推進、ドラッグ・ラグの解消を通じて睡眠薬の国内医療への円滑な導入を図るために、睡眠薬開発に際して効果的な臨床試験を推進するための国内向けガイドラインを策定した。本ガイドラインに準じることにより、臨床試験を科学的かつ倫理的に行い、質的向上が図られ、国際的にも一定の評価が得られることが期待される。
その他のインパクト
関連学会のシンポジウムにおいて成果の一端を発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Abe Y, Mishima K, Kaneita Y, Li L, et al.
Stress coping behaviors and sleep hygiene practices in a sample of Japanese adults with insomnia.
Sleep and Biological Rhythms , 9 , 35-45  (2011)
原著論文2
Sasai T, Inoue Y, Komada Y, et al.
Effects of insomnia and sleep medication on health-related quality of life.
Sleep Med , 11 (5) , 452-457  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034070Z