インフルエンザワクチン需要予測に関する研究

文献情報

文献番号
201034069A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザワクチン需要予測に関する研究
課題番号
H22-医薬・指定-026
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学 保健医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 由美(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 延原 弘章(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 大日 康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,388,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はインフルエンザワクチンの需要量の推計方法を確立することを目的とする。
研究方法
1.医療機関等を対象とした接種状況調査
医療機関等に対し、シーズン前(平成22年9月末)に協力を依頼し、シーズン終了後(平成23年3月)に調査票の回収を行った。調査対象施設数は、(社)日本医薬品卸業連合会加盟の医薬品卸売業者が平成21年度に1本以上を供給した全国83,965施設から、都道府県を層として無作為に抽出した3,376施設とした。
2.住民を対象とした接種意向調査
幼児・児童,成人,高齢者の3世代を対象としてインフルエンザワクチンの接種意向調査を行った。調査方法は、調査会社とモニター契約を結んでいる世帯にWebアンケートへの回答を求める方法とした。
結果と考察
1.平成22年度における実際のインフルエンザワクチン使用本数は厚生労働省調べで2447万本であり、本研究者等の昨年度の推計値は、医療機関調査で7.6-8.8%少なく、住民調査で9.2%多かったことが明らかとなった。医療機関調査での推計値が実際より少なかったのは、昨年度の推計値は従来の季節性インフルエンザワクチンを推計したものであったが、実際にはインフルエンザ(H1N1)2009を含む3価ワクチンが使用されたことによると考えた。
2.平成22年度のインフルエンザワクチン接種率は、回答医療機関等の偏りの補正を行なった結果、1歳未満11.0%、1歳以上6歳未満70.0%、6歳以上13歳未満57.5%、13歳以上65歳未満28.4%、65歳以上58.7%で、世代間格差がみられ、全体では38.8%と推定された。この接種率を平成21年度と比較すると、何れの世代でも上昇していた。
3.医療機関等を対象とした接種状況調査にもとづいて、平成23年度のワクチン需要数を推計すると、約2,526万本から約2,553万本となった。ただし、接種率の長期的な変化の動向を考慮すると、2,653万本程度にまで増加する可能性がある。
4.住民を対象とした接種意向調査から平成23年度のワクチン需要数は2,789万本と推計された。
結論
インフルエンザワクチンの需要動向は、新種のインフルエンザまたは類似の呼吸器感染症の流行やその恐れ、またそれらに関する報道の状況、あるいはワクチン接種に関する手続・制度等の改変によって大きく変化することを考慮すると、インフルエンザワクチン需要量の定型的な推計方法を確立するためには、長期にわたる継続した調査が必要と考える。今年度はインフルエンザ(H1N1)2009を含む新たな3価ワクチンを採用した影響が認められた。

公開日・更新日

公開日
2011-07-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034069Z