新型インフルエンザワクチン製造株開発と品質管理及びワクチン使用戦略に関する研究

文献情報

文献番号
201034068A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザワクチン製造株開発と品質管理及びワクチン使用戦略に関する研究
課題番号
H22-医薬・指定-025
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
板村 繁之(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤佳代子(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
  • 白倉雅之(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
  • 横田恭子(国立感染症研究所 免疫部)
  • 笠井道之(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 嶋崎典子(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,215,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、発育鶏卵での高生産性のインフルエンザワクチン製造株の開発や、ワクチンの剤型による免疫応答を解析することにより新型インフルエンザ出現時にどのようなワクチン接種戦略が適切であるのか検討を行う。また新規アジュバントを含有したワクチンの品質規格試験として適切な試験法の開発、標準化を実施して品質の均一な製剤を供給することなどを目的とした。
研究方法
リーバースジェネティクス法による改変ウイルスを作製しての増殖性の検討、免疫学的方法による力価試験法の開発、アジュバント添加ワクチンの力価試験法の改良、ワクチンの免疫原性に関わる活性の検出方法の検討などを実施した。
結果と考察
(1)インフルエンザウイルスの非コード領域を改変したウイルス株は、ウイルスの増殖性とウイルス蛋白量の増加が期待され高生産性ワクチン株の作製の基盤となりうる。
(2)開発したH5型HA特異的なモノクローナル抗体を組み合わせたサンドイッチELISA法を用いて全粒子不活化ワクチンについてHA含有量を測定したところ、力価試験として標準に実施されている一元放射免疫拡散試験法(SRD)で測定した値と比較的良く一致した。
(3)油系エマルジョンアジュバント添加型インフルエンザHAワクチンについてSRD試験によるHA含量測定を行うために、抗原抗体複合体の形成を促進させるためにPEG添加アガロースゲルを用いる方法、更に、ワクチン検体からアジュバントを分離させるために適切な超遠心処理を行う方法を検討し、有効な改良法を確立した。
(4)全粒子ワクチンによるウイルス増殖抑制効果はスプリットワクチンによるものよりも高いことを確認した。一方、ワクチン接種後にチャレンジウイルスを感染した3日後のワクチン特異的抗体価はスプリットワクチンによる場合の方が高く、その意味については更なる検討が必要と考えられる。
(5)インフルエンザ全粒子ワクチンおよびスプリットワクチンの蛍光標識方法を確立し、抗原提示細胞が両者ワクチンを取り込む様子の時間変化を調べ、免疫担当細胞への取り込み方が両者ワクチンの間で異なることを明らかにした。この取り込みと輸送の動態に関する時間経過の違いがワクチンの形状及び免疫原性とどのような関係にあるのかが次の課題である。
結論
高生産性ワクチン株を作製する上での基盤となる知見を得た。ワクチンの品質管理のために力価試験として有用な新規方法を開発し、またアジュバント添加ワクチンに利用できるように現行試験法を改良できた。さらにワクチンの免疫原性に関与する活性の検出方法について検討を実施した。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034068Z