抗HBs人免疫グロブリンの国内製造用原料血漿収集におけるB型肝炎ワクチン接種の有効性に係わる基礎的検討

文献情報

文献番号
201034067A
報告書区分
総括
研究課題名
抗HBs人免疫グロブリンの国内製造用原料血漿収集におけるB型肝炎ワクチン接種の有効性に係わる基礎的検討
課題番号
H22-医薬・指定-024
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 博之(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 脇坂 明美(日本赤十字社 血漿分画センター)
  • 鈴木 光(日本赤十字社 中央血液研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 血液製剤である抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)は、HBV母子感染予防、針刺し事故後の感染予防、移植例のHBV再活性化予防などを目的とする医療医薬品として広く用いられている。HBIGは、献血者を対象に高力価のHBs抗体を有する血漿を原料に製造されているが、わが国の国内自給率は3%以下であり、その多くを外国からの輸入血漿に依存している。過去の輸入血液製剤によるHIV、HCV感染例の反省から、血液製剤の原料血漿も国内献血で確保すべきと法律上明記されているが、HBワクチンのユニバーサルワクチネーションが実施されていないわが国において、一般献血者のHBs抗体陽性率は諸外国に比して極めて低い。本研究ではHBワクチン既投与者を対象として、HBワクチンの追加投与をおこない、投与前後のHBs抗体価を評価することで、HBIG原料血漿収集の国内自給を目指した能動的血漿収集法の基礎的検討データを作成することを目的としており、HBIG製剤の国内自給体制の確立に貢献する研究プロジェックトである。
研究方法
 現在もしくは過去にHBs 抗体を保有する事が確認されている者(感作者)を対象にワクチンを接種した場合の抗体価の上昇を調査する。得られた成績を基に、HBIG自給の為に必要な方策を立案する。
結果と考察
 HBワクチン投与前後のHBs抗体価は、算術平均で380.9±1319.9から12227.8±17951.9 mIU/mlに、幾何平均で1.985±0.665から3.708±0.669と共に有意に上昇した(P<0.0001)。468名中、投与前にHBs抗体価1万mIU/ml以上を示した者は2名(0.4%)だけであったが、投与後には164名(35%)へと増加した。投与後1万mIU/ml以上を示した者の特徴は、1. 若年であること、2. 投与前のHBs抗体価が高いこと、3. HBc抗体陰性であること、の3点であった。
結論
 HBワクチン既投与者を対象として、HBワクチンの追加投与をおこない、HBs抗体力価を上昇させるという本方法は、HBIG原料血漿収集の国内自給を目指した能動的血漿収集法として実現可能であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034067Z