文献情報
文献番号
201034065A
報告書区分
総括
研究課題名
治験に係る健康被害発生時の被験者保護に関する研究(指定型研究)
課題番号
H22-医薬・指定-022
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 裕司(浜松医科大学 臨床薬理学)
研究分担者(所属機関)
- 景山 茂(東京慈恵会医科大学 薬物治療学)
- 楠岡 英雄((独)国立病院機構大阪医療センター)
- 小野 俊介(東京大学大学院薬学系研究科医薬品評価科学講座)
- 斉藤 和幸((独)医薬品医療機器総合機構 新薬審査第三部 レギュラトリーサイエンス・保健医療行政)
- 磯部 哲(慶應義塾大学大学院・法務研究科・行政法)
- 掛江 直子(国立成育医療センター研究所・生育政策科学研究部・生育保健政策科学研究室・生命倫理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は被験者が治験のベネフィットとリスクを理解した上で、治験に参加できる環境を整備する事を目的とする。具体的には、健康被害発生時の被験者への情報提供や対応を実態調査し、被験者が健康被害リスクを十分理解できるような治験責任医師等による説明や同意取得方法、及び健康被害発生時の被験者への情報提供のあり方を提案する。
研究方法
健康被害発生時の被験者への情報提供や対応を、1) 治験制度、2) 実施医療機関の対応、3) 治験に対する患者の認知度、4) GCP上の課題、5) 有害事象発生時の対応に係る法的側面、6) 被験者への同意説明時の倫理的な配慮、7) 治験依頼者向け補償アンケート、の7課題につき検討した。具体的には、文献調査、治験実施医療機関・CRC・SMOへのWeb調査、被験者又は被験者の親・保護者を対象とした無記名(匿名)のアンケート調査、治験審査委員会委員を対象とした意識調査、臨床評価部会加盟企業68社に対してのアンケート調査を実施した。
結果と考察
日本国内の治験における補償対応の実態を、企業、医療機関、治験審査委員会、被験者それぞれに対する調査を行って数値として示すことができた。その結果、諸外国と比較しても日本で実施される治験は高い水準の補償を提案しており、実態としても回答した企業に限っては、補償請求のあった事例に対しほとんど大部分が請求のとおりに対応していることが明らかとなった。一方、企業の実態は国内全企業を網羅的に対象としたものではなく、回答率は65%であるため、稀に発生する重篤な事例についての情報が捕捉されていない可能性を否定できないという限界はある。治験が医療の進歩に必須の段階であることを周知し、積極的な参加を国民に呼びかけるためには、被験者が治験のベネフィットとリスクを理解した上で、治験に参加できる環境を整備することが必要である。その為に、治験における補償制度に、より公共性と透明性を持たせることは重要であると考える。
結論
現行の日本の治験制度においては、被験者の健康被害に対する補償について、諸外国と比べて高い水準の被験者保護を提供していると考えられた。製薬企業においては得られた情報の限りでは、十分な補償対応が行われている。しかしながら、治験審査委員会委員の認識や、被験者に対する説明・理解は、必ずしも十分とは言えない。本研究の結果を踏まえて、被験者に対する補償概要の説明モデル案の骨子案を、健康被害発生時の対応も含む形で作成した。
公開日・更新日
公開日
2011-08-08
更新日
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