アカントアメーバ角膜炎制御におけるレンズケアの重要性

文献情報

文献番号
201034064A
報告書区分
総括
研究課題名
アカントアメーバ角膜炎制御におけるレンズケアの重要性
課題番号
H22-医薬・指定-021
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大橋 裕一(愛媛大学 医学系研究科 視機能外科学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コンタクトレンズ関連角膜感染症の中でも、最も難治性でかつ急増しつつあるアカントアメーバ角膜炎に焦点を絞り、その制御に向けて種々の視点から解決策、対応策を模索すること。
研究方法
1.アメーバ消毒効果の試験方法の標準化
SCL消毒剤のアメーバに対する消毒効果の試験方法について、標準となりうる試験方法を提案する。
2.MPSの効力比較試験
レンズケアに広く使用されているMPSの抗アメーバ効果について、log reduction法を用いて検討する。
3.アカントアメーバに対する擦り洗い試験
種々のSCLに一定時間アカントアメーバ(栄養体およびシスト)を接触させた後、上述のアッセイ法に準じて残存アカントアメーバを定量し、除去効果を比較検討する。
4.アカントアメーバ角膜炎の定点調査
アカントアメーバ角膜炎の発生状況を3年間、経年的に追跡する。
5.レンズケースの汚染状況の定点調査
レンズケースの汚染動向を3年間、経年的に調査する。
結果と考察
1.アカントアメーバ消毒効果の試験方法の標準化:生菌選択的蛍光染色法のひとつである5-Cyano-2,3-ditolyl-2H-tetrazolium chloride(CTC)染色を用いた試験法の検討を行った(CTC Assay)。その結果、Log reduction法による定量結果は、CTC染色結果とよく一致していた。
2.MPSの効力比較試験:過酸化水素製剤およびポピドンヨード製剤に比較して、MPSの消毒効果は弱かった。
3.アカントアメーバに対する擦り洗い試験:「浸漬のみ」ではアメーバの増殖が認められたが、「すすぎ+浸漬」および「こすり+すすぎ+浸漬」では全く認められなかった。
4.アカントアメーバ角膜炎の定点調査:現在、患者登録数が10症例と目標に達していないため、次年度における調査方法を再検討中である。
5.レンズケースの汚染状況の定点調査: SCL使用者237例、HCL使用者114例のCLケース汚染状況を検討した結果、アカントアメーバは検出されなかった。
結論
この研究は、アカントアメーバ角膜炎の発生状況をモニターする上で極めて効果的な試みであり、今後のレンズ消毒剤のあり方や方向性を考える上で、有用な情報がもたらされると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034064Z