法規制薬物の分析と鑑別に関する研究

文献情報

文献番号
201034060A
報告書区分
総括
研究課題名
法規制薬物の分析と鑑別に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 花尻 瑠理(木倉 瑠理)(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
  • 福原 潔(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
  • 河野 徳昭(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
  • 代田 修(徳島文理大学 香川薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では,法規制薬物の内,麻薬・向精神薬取締法及びあへん法など関連4法で厳しく規制される薬物及び,今後これらの法律により規制される可能性の高い薬物を対象とし,同薬物の分析と鑑別に関する研究を行う.
研究方法
 使用した麻薬,向精神薬,指定薬物等は,主に国立衛研で研究用として合成,入手,保管されているもの及び,麻薬取締部で国庫帰属となり交付を受けた物を用いた.材料植物の収集は,医薬基盤研薬用植物資源研究センターの協力を得た.
結果と考察
 合成カンナビノイドJWH-018の代謝物を合成し,代謝物を利用した生体試料からの分析について検討した.さらにラットおよびヒト肝ミクロゾームを用いて,非麻薬性鎮咳薬として一般用医薬品としても広く利用されているデキストロメトルファンと,強い鎮痛作用を有し麻薬である光学異性体レボメトルファン(LEV)についてラット及びヒト肝ミクロゾームによる光学選択的代謝について検討した.また,フェンタニルおよびノルフェンタニルの生体試料からの分析法を確立するとともに,押収錠剤型麻薬の形態観察及び薬物含有量試験法の検討及びマイクロ波を利用した違法薬物誘導体化条件の検討を行った.また植物では,4OMT遺伝子情報を利用したケシ属植物の簡便な識別法を検討し,P. pseudo-orientaleを特異的に検出するプライマーセットを見出した.さらに大麻種子1粒を用いた産地特定のためのDNA鑑別法の開発,国内流通大麻の特異的遺伝子配列の調査を開始するとともに,押収大麻の形態観察及びTHC含有量調査を実施した.また,免疫化学的分析手法によるサルビノリンAの検出法を確立した.
結論
 本研究は,監視指導麻薬対策課と密接な連絡のもと遂行され,その成果は厚生労働省の乱用薬物行政と乱用薬物取締りに直接貢献することになる.特に,本年度の研究では,代謝経路が示されたことにより,LEV使用事犯への対応がより容易になったものと考える.また,遺伝子的に容易にP.pseudo-orientaleを鑑別できる道筋ができたことで,現実的に本種を規制していく可能性を考えることが出来るようになったものといえよう.また各種押収品に関する調査・分析結果は,麻薬取締部における今後の乱用薬物取り締まりに直接的に貢献する.

公開日・更新日

公開日
2011-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201034060Z