文献情報
文献番号
201034058A
報告書区分
総括
研究課題名
医療連携推進・薬剤師の資質向上に必要な行政的対応策に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 洋史(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 堀内 龍也(日本病院薬剤師会)
- 林 昌洋(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院)
- 伊藤 晃成(東京大学 医学部附属病院)
- 寺田 智祐(滋賀医科大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国民が望む有効かつ安全な薬物治療を推進する上で、薬剤師は重要な役割を果たすが、特に医師・看護師等の他職種との連携は薬剤師職能を十全に発揮する上で必須である。すなわち、病院・診療所等においてはチーム医療の実践が要求され、開局薬局等においては病院・診療所との医療連携が必要となる。
そこで、本研究にでは、他職種と連携しながら薬剤師が薬物治療において果たす役割、およびその役割を果たす上で必要とされる能力や環境を抽出し、さらなる医療連携推進・薬剤師の資質向上に必要な行政的対応策を提言することを目的として、病院薬剤師および薬局薬剤師を対象にアンケート調査を実施した。
そこで、本研究にでは、他職種と連携しながら薬剤師が薬物治療において果たす役割、およびその役割を果たす上で必要とされる能力や環境を抽出し、さらなる医療連携推進・薬剤師の資質向上に必要な行政的対応策を提言することを目的として、病院薬剤師および薬局薬剤師を対象にアンケート調査を実施した。
研究方法
全国の942の病院、東京都の5,787の薬局を対象にアンケート調査を行い200病院、657薬局から回答を得た。
結果と考察
アンケート調査の結果、薬剤師は病院においてはその専門性を活かしてチーム医療に参画することで、医薬品適正使用や薬物療法の安全性の確保の上で重要なゲートキーパーとして機能しているが、薬剤師職員数の不足が、病棟活動を積極的に展開する上でも、また今後の病棟活動において主導的な役割を担うべき専門薬剤師の育成する上でも足枷となっていることが浮き彫りとなった。一方、開局薬局においては人員不足に加えて、医療連携の不足による情報不足も大きな問題となっている。開局薬局が処方箋調剤や在宅訪問管理を積極的に行い、安全な薬物療法を達成するためには、医療連携の推進や患者の意識改革を通して、患者情報を共有する標準的方法を確立することが急務であると考えられた。
結論
今後我が国において、薬剤師による薬物療法の安全性確保を目指した先進的な業務展開を普及させるためには、薬剤師自身のさらなる能力向上や実施している業務にたいする評価も必要であるが、薬剤師の増員とそれを可能とする環境の整備が何よりも必要である。今後は、海外の動向にも注目しつつ、総合的な議論が必要である。
公開日・更新日
公開日
2011-08-03
更新日
-