文献情報
文献番号
201034055A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児輸血療法の安全性、有効性、効率性の向上に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
星 順隆(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 小原 明(東邦大学 医学部)
- 高橋 幸博(奈良県立医科大学附属 周産期センター)
- 田崎 哲典(東京慈恵会医科大学 医学部)
- 細野 茂春(日本大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国の輸血医療は、安全な輸血用血液の安定供給の確保等に関する法律(血液法)施行以来、極めて安全になってきが、新生児領域、特にNICUにおける輸血の状況は、体制整備が十分ではなく、未だ多くのリスクが残存している。新生児領域の輸血医療の効率性を検討し、安全性・有効性を担保した輸血体制の構築を目指し、指針策定の原資とすることを目的とした。
研究方法
全国NICUに対するアンケートを分析し、問題点を抽出した結果、以下の残された問題を検討した。1)赤血球製剤の放射線照射時期と分割時期によるカリウム濃度の変化2)ミッドプレス式輸液ポンプを使用した輸血による溶血のリスク3)シリンジ内に保存された血液の機能変化を検討した。さらに4)新生児輸血のトリガーの国際比較5)院内血の安全性と有効性および必要性6)自己臍帯赤血球の安全性と必要性を検討した。新生児輸血の指針改定のための問題点の検討を、日本輸血細胞治療学会・小児輸血療法委員会委員長の小原に検討を依頼した。
結果と考察
多くのNICUでは、輸血は97%以上の施設がシリンジポンプを使用、制限時間を超えて輸血されていることが明らかとなった。1)放射線照射後、赤血球製剤のカリウ値の上昇は、未照射血のほぼ倍で推移したが、照射後分割した製剤と分割後照射した場合との差は認められなかった。照射後長期間保存した血液をハイリスクな未熟児に用いる場合にはカリウム除去フィルターの使用が推奨される。3)注射用シリンジ内での血小板機能、凝固・線溶因子、血液ガスの変化を継時的に測定した結果、シリンジ内では4-6時間で、著名な機能低下が認められた。4)我が国では各条件下で、輸血トリガーは諸外国と比して、0.1ー1.2g/dl低いことが明らかとなった。
結論
極めて未熟なハイリスク児を除いて、日赤照射血で対応可能である事が示された。児のリスクにより、緊急時にはカリウム除去フィルターの使用が推奨される。血小板製剤をシリンジポンプを使用して輸血する場合は、分割後3ー4時間で輸注が終了するように注意を促す必要がある。
新生児治療に必要な血液の供給体制の整備や新生児医療施設の輸血部門の整備が不十分であるため、安全性と有効性を担保した上で運用の効率性を改善すには、体制の整備が急務である。
新生児治療に必要な血液の供給体制の整備や新生児医療施設の輸血部門の整備が不十分であるため、安全性と有効性を担保した上で運用の効率性を改善すには、体制の整備が急務である。
公開日・更新日
公開日
2011-07-01
更新日
-