小児臓器移植前後におけるワクチン接種の安全性と有効性に関する研究

文献情報

文献番号
201034054A
報告書区分
総括
研究課題名
小児臓器移植前後におけるワクチン接種の安全性と有効性に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 昭彦(国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 感染症科)
研究分担者(所属機関)
  • 笠原 群生(国立成育医療研究センター 外科系専門診療部 移植外科)
  • 竹田 誠(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生体肝移植後の患者に対し、効果的かつ安全なワクチン接種が実施できるように、接種後の液性免疫の評価のみならず、細胞性免疫の機能評価を行い、データを蓄積する。これらのデータに基き、効果があり、かつ安全性の高いワクチンスケジュールを作成し、それを国内外に発信することがこの研究の目的である。
研究方法
1.過去に生体肝移植を行った児の移植前後のワクチン接種歴とその効果を後方視的調査
2.生体肝移植前後のワクチンの効果、安全性の前方視的調査
1) 液性免疫能の評価: 水痘、風疹、ムンプス、麻疹に対する抗体価の測定
2) 細胞性免疫の評価: 麻疹、水痘、風疹抗原によるELISPOTを用いたCD8+細胞のInterferon-Ƴなどのサイトカインの測定
3. 以上のデータの蓄積と解析による今後の生体肝移植を受ける児に対するワクチンスケジュールの作成
結果と考察
<結果>
1. 生体肝移植患者のうち、術前ワクチン接種評価として82名、術後ワクチン接種評価として54名を対象とした。対象年齢の中央値は15か月、術前の生ワクチン接種率は、麻疹79%、風疹73%、水痘56%、流行性耳下腺炎62%、BCG84%、ポリオ47%であった。術前複数ワクチン同時接種は、1歳未満の患者を中心に24名(29%)に行われたが、同時接種による明らかな有害事象は認めなかった。術後ワクチン接種は、免疫機能や免疫抑制剤血中濃度などを参考に生ワクチンは7名、不活化ワクチンは47名に施行されたが、明らかな有害事象は認めなかった。移植手術から初回生ワクチン接種、不活化ワクチン接種までの平均期間はそれぞれ29か月、20か月であった。
2. データの測定中(2011年5月現在で、25検体の採取済)
3. 2の結果を蓄積し、解析する。
<考察>
生体肝移植患者への移植前後のワクチン接種は、安全に行われていた。しかしながら、その効果に関しては、データが乏しく、今後、現在行っている検体の解析を進め、その結果を基に、各患者に応じたテーラーメイドのワクチン接種が可能になるものと考えられる。
結論
生体移植前後のワクチン接種は、客観的データがなく、その接種に関する明確な基準は存在しない。したがって、現在行っている検査のデータの蓄積とその解析を行い、ワクチンスケジュールの作成につなげる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034054Z