薬剤性肺障害における遺伝子マーカーに関する遺伝子学的検討等に係る研究

文献情報

文献番号
201034044A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤性肺障害における遺伝子マーカーに関する遺伝子学的検討等に係る研究
課題番号
H21-医薬・一般-033
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
久保 惠嗣(信州大学医学部 内科学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 河野 修興(広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子内科学)
  • 巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学)
  • 徳田 均(社会保険中央総合病院呼吸器内科)
  • 太田 正穂(信州大学医学部法医学教室 )
  • 花岡 正幸(信州大学医学部内科学第一講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 難治疾患・癌疾患治療に用いられている新規の薬剤は、分子標的薬として作用点が明確なうえに薬剤効果も優れているが、薬剤性肺障害の報告例も増加している。薬剤性肺障害は、使用する薬剤により同一民族間および人種間で発症頻度に差異が見られ、薬剤性肺障害に対して感受性・抵抗性を示す遺伝的素因の存在が疑われる。特に、分子標的薬ゲフィチニブ、新規抗リウマチ薬レフルノミド、抗癌薬ブレオマイシン、ボルテゾミブ等の細胞障害性薬剤により間質性肺炎やびまん性肺胞障害(diffuse alveolar damage: DAD)を招来する頻度は、海外に比べ日本人で高いことから、日本人特有の線維化、あるいはDADをもたらす共通の遺伝子素因や遺伝的背景の存在が示唆される。
研究方法
細胞障害性機序が疑われた薬剤により薬剤性肺障害を起こした21症例と、起こさなかった19症例について、HLA(human leukocyte antigen)タイピングとAffymetrix社のGeneChip Human Mapping 500K Array Set(500,568 SNPs)を用いた相関解析(genome-wide association study: GWAS)を行った。

結果と考察
HLAでは、発症群にHLA-A*0206アリル頻度が高かったが、統計学的有意差は認められなかった。また、GWASでは、前年度と同様に本解析で薬剤性肺障害発症に有意差(p < 0.0001)を示した遺伝子が幾つか見つかった(HIVEP3 1p34.2, IL17RD 3p14.3, ATP11B 3q26.33, SCRCS3 10q25.1, PAAF1 11q 13.4, CAND1 12q14.3, COL4A2 13q3.4, SLC39A11 17q25.1, CABLES1 18q11.2)。今後、検体数を増やし、これらの遺伝子が同様に薬剤性肺障害発症群と非発症群間で有意差を示すか再現性についての検討が必要である。また、これらの遺伝子内についてfine mapping を行い、遺伝子のどの位置に疾患を来す遺伝因子があるかを検索する必要がある。
結論
GWASによる相関解析の結果、薬剤性肺障害の発症と関連する複数の遺伝子が見つかった。これら遺伝子の解析を進め、疾患感受性遺伝子の同定と、肺障害の発症機序の解明を目指す。

公開日・更新日

公開日
2011-05-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,033円
差引額 [(1)-(2)]
-33円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
利息33円

公開日・更新日

公開日
2015-05-25
更新日
-