違法ドラッグの危害影響予測手法と分析に関する研究

文献情報

文献番号
201034042A
報告書区分
総括
研究課題名
違法ドラッグの危害影響予測手法と分析に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-030
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
花尻 瑠理 (木倉 瑠理)(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
  • 高山 廣光(千葉大学大学院 薬学研究院)
  • 栗原 正明(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
  • 飯田 修(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 種子島研究部 )
  • 豊岡 利正(静岡県立大学薬学部)
  • 裏出 良博(財団法人大阪バイオサイエンス研究所 分子行動生物学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定薬物制度に対応し,具体的な化合物や植物を指定薬物として規制する際に考えられる問題点を検討し,規制化に必要な評価手法及び科学的データを監視指導・麻薬行政に提供することを目的とする.
研究方法
新規流通違法ドラッグの構造決定,迅速分析法の開発を行うと共に,分析用標品の整備を行った.活性未知成分について,in silico, in vitro及びin vivoによる活性評価法を検討した.植物製品の遺伝子解析による基原種調査を行うと共に,問題となる植物のアルカロイド成分を単離・同定し,薬理活性を評価した.また,標準となりうる植物資源の確保を行った.
結果と考察
違法ドラッグ製品の流通実態調査を行い,新規2化合物を含む新規流通14化合物を検出・同定した.代表的な指定薬物の光学異性体一斉分析法を開発し,製品分析に適用すると共に,ラット生体試料中薬物分析に応用した.合成カンナビノイド2化合物の分析用標品を調製すると共に,14化合物の一斉分析法を提示した.薬理活性未報告の違法ドラッグ4成分について,コンピュータモデリングまたは薬物の受容体に対する作用機序判別試験による活性評価を行い,規制化合物と同等の中枢作用を有する可能性を示した.合成カンナビノイド2成分について,ラット脳波変化による薬効評価を行い,大麻活性成分と比較した.マウス大脳辺縁系スライス標本を用いた薬効評価研究に着手した.一方,植物混合製品について遺伝子分析による基原植物の特定を行った結果,主な含有植物はダミアナやモウズイカであり,合成カンナビノイド添加が製品の主目的と考えられた.日本に自生するクサヨシ中の麻薬及び指定薬物成分含量を明らかにした.乱用形態に準じてシニクイチを発酵させたエキスと未発酵エキスを調製し,含有成分の比較及び中枢神経系に対する活性を検討した.新たに9属33種66系統の違法性植物種子及びサボテン類を導入し標準植物資源を確保した.
結論
本研究成果の一部は,平成22年6月及び平成23年2月に行われた薬事・食品衛生審議会指定薬物部会の審議資料として用いられ,平成22年9月及び平成23年5月より新たに計14化合物が指定薬物として規制された.今後も,問題となる薬物・植物を随時指定薬物として指定し規制していくことになるが,本研究結果はこれらの規制化に有用な情報を提供し,国の監視指導行政に直接貢献するものである.

公開日・更新日

公開日
2011-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201034042Z