文献情報
文献番号
201034040A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物乱用・依存の実態把握と再乱用防止のための社会資源等の現状と課題に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-028
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
和田 清(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
- 庄司 正実(目白大学 人間学部)
- 福永 龍繁(東京都監察医務院)
- 山口 みほ(日本福祉大学 社会福祉学部)
- 宮永 耕(東海大学 健康科学部)
- 嶋根 卓也(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部)
- 松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部)
- 近藤 あゆみ(新潟医療福祉大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬物乱用・依存対策の際の基礎資料に供するために、(研究1)薬物乱用・依存の実態把握調査と、(研究2)再乱用防止のための社会資源等の現状と課題について研究した。
研究方法
(研究1)1.全国中学生調査、2.全国精神科病院調査、3.全国児童自立支援施設調査、4. 監察医務院調査、5. 大学新入生調査を行った。(研究2)1.回復支援に関わる制度的社会資源の現状と課題研究、2. 障害者自立支援法下における薬物依存症治療資源に関する研究、3. 若年者向け薬物再乱用防止プログラムの開発研究、4. 司法関連施設少年用薬物乱用防止教育ツールの介入効果研究、5.家族教育プログラムの開発研究を行った。
結果と考察
(研究1)1. 生涯経験率は有機溶剤0.7%、大麻0.3%、覚せい剤0.3%であった。2.覚せい剤症例が53.1%と最多で、長年2番目であった有機溶剤症例は8.3%で4番目になった。2番目は睡眠薬・抗不安薬17.7%であり、3番目は多剤症例8.5%であった。3.生涯経験率の高い順に、有機溶剤23.4%、ブタン22%、抗不安薬16.1%であった。4. 検出薬物では、医薬品等が増加し、特に睡眠剤と精神神経用剤の件数が増加していた。5. 薬物乱用経験は2.3%であり、向精神薬が1.8%と最も多かった。
(研究2)1.薬物依存症という病名・障害名で活用できる制度上の社会資源は限定的であった。2.利用可能性の高い社会保障制度は「知らない者は利用することができない制度」といった実態があった。3. 若年者向け再乱用防止プログラムOPENを作成し、一精神保健福祉センターにて実施した。4. 少年鑑別所入所薬物乱用者用自習ワークブック「SMARPP-Jr.」を実施し、治療動機を向上させる効果を確認した。5.家族のニーズに対応できる総合的な家族教育プログラムの開発(教材として5種類計9冊)を行った。
(研究2)1.薬物依存症という病名・障害名で活用できる制度上の社会資源は限定的であった。2.利用可能性の高い社会保障制度は「知らない者は利用することができない制度」といった実態があった。3. 若年者向け再乱用防止プログラムOPENを作成し、一精神保健福祉センターにて実施した。4. 少年鑑別所入所薬物乱用者用自習ワークブック「SMARPP-Jr.」を実施し、治療動機を向上させる効果を確認した。5.家族のニーズに対応できる総合的な家族教育プログラムの開発(教材として5種類計9冊)を行った。
結論
未成年者における薬物乱用は減少しており、質的にも変化している。それに即した薬物乱用防止教育を検討・再強化する必要がある。医薬品の乱用・依存が確実に増えており、対策を検討する必要がある。薬物依存症は「精神保健福祉法」では精神障害であるにも関わらず、各種社会保障制度上は適応にならないことが多い。二次予防(早期発見、早期治療)・三次予防(社会復帰)の強化こそが、再乱用防止策の中核であり、早急な検討を要する。
公開日・更新日
公開日
2011-04-28
更新日
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