輸血用血液製剤に対する副作用を生じない病原体不活化技術の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201034027A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血用血液製剤に対する副作用を生じない病原体不活化技術の開発に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 遊佐 敬介(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
8,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
輸血用血液製剤のさらなる安全性向上のために開発が進められてきているウイルス等病原体不活化技術について、現在開発中の技術で問題となっている点を明らかにし、必要に応じて新たにウイルス等病原体不活化技術の開発を行う。また、不活化技術導入に当たって、有効成分への影響を評価するための手法の開発や、影響評価において考慮すべき事項の検討及び影響評価法の開発を行う。
研究方法
ウイルス不活化技術の有効成分への影響評価、ウイルス不活化技術の血小板製剤への影響評価、ウイルス不活化能の評価法に関する研究を行った。
結果と考察
1)ウイルス不活化技術の有効成分への影響評価として、LC/MSを用いて血液凝固第Ⅷ因子の構造解析を行った。糖鎖結合部位を含めて約80%以上のアミノ酸配列が確認された。次に、いくつかのペプチドを光化学反応処理したところ、不活化操作により惹起されるタンパク質の化学修飾は主に酸化、カルボニルの形成であることが確認された。
2)ウイルス不活化技術の血小板製剤への影響評価に関する研究として、リボフラビン添加と紫外線照射による病原体不活化処理が、血小板製剤に含まれる免疫グロブリンの機能に与える影響を検討した。その結果、FcγRⅢaへの結合に変化はなかったものの、FcγRⅡaへの結合性が亢進していることが示された。
3)ウイルス不活化能の評価法に関する研究として、エンベロープタンパク質に多様な変異を導入した組換えウイルスを作製し、得られたウイルスクローンからなるウイルス集団は、gp120のV3領域のみに多様な変異をもつ他は均一のウイルスライブラリーである。V3に変異を持つ個々のウイルスは、ウイルス不活化に対し、異なる反応性を持つことが予想される。今後は、ウイルス不活化過程に多様な変異gp120がどのような影響をもつのかを明らかにし、薬剤耐性ウイルスが混入していた場合の不活化処理の有効性について検討する予定。
結論
病原体不活化処理により生じる血漿成分の構造変化に関する解析手法の確立や、病原体不活化処理による血小板製剤成分の機能変化の解明は、適切なウイルス不活化技術の選択につながるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,240,000円
(2)補助金確定額
8,240,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
預金利息

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-