ワクチンの品質確保のための国家検定手法の国際協調に関する研究

文献情報

文献番号
201034023A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンの品質確保のための国家検定手法の国際協調に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 和田 昭仁(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 内藤 誠之郎(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 落合 雅樹(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 佐々木 次雄(独)医薬品医療機器総合機構 品質管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOは各国のワクチンのロットリリース体制の調査及び評価を行った結果を踏まえ、WHOガイドライン案(WHO-GL)を作成し、ロット毎のサマリーロットプロトコル(SLP)レビューとGMP査察の検証を両輪とする品質保証制度に基づくロットリリースのあり方を示した。現在、日本が実施している検定制度(試験による品質確認)との間には違いがあり、SLPレビューの実施とGMP査察との連携による品質保証制度の確立とその充実を求めている。我が国においてもワクチンの安全・安心の更なる保証のためにロットリリース体制の充実は不可欠である。そこで、ワクチンの品質確保のための国家検定のあり方について提言を行うことを目的に研究を行った。
研究方法
規制当局である厚生労働省(厚労省)、GMP調査あるいは承認審査業務の委嘱を受けている独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)、そして検定機関である国立感染症研究所(感染研)との連携をとりながら、WHO-GLで指摘されているSLPレビューを含めたロットリリースを我が国に導入するに当たり、対応が必要となる事項を整理した。
結果と考察
将来的なワクチン戦略を考えたとき、品質管理制度の国際調和は重要である。承認された製造方法に基づき製造を行うことは、製造所の一義的な責任であるが、それに加えて国がSLPのレビューを実施することはワクチンの品質確保の面で一段と意義があるものである。一方で、感染研において実施してきた試験に基づく検定が、ワクチン品質確保に大きな貢献をしてきた事実も無視することはできない。今後の国家検定は、試験に加えてSLPのレビューを導入することで、検定制度(ロットリリース制度)の国際的な調和が図られると共に、ワクチンの品質確保及び品質保証の質的向上が見込まれる。一方で、SLPの判定基準の考え方について、厚労省、PMDA及び感染研との間で齟齬がないよう整理する必要がある。また、人材育成のための教育訓練制度の拡充とともに、厚労省、PMDAとの間で情報交流を深めていくことが求められる。
結論
現在の国家検定に、試験に加えSLPのレビューを導入することで、ロットリリース制度の国際的な調和が図られると共に、国家危機管理において重要性の高いワクチンの品質確保及び品質保証の更なる質的向上に寄与するものと考えられることから、早急に我が国にもSLPレビュー制度を導入する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2011-06-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034023Z