医薬品の微生物学的品質確保のための新規試験法導入に関する研究

文献情報

文献番号
201034021A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の微生物学的品質確保のための新規試験法導入に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
室井 正志(武蔵野大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 棚元 憲一(武蔵野大学 薬学部)
  • 佐々木 次雄(医薬品医療機器総合機構)
  • 山口 進康(大阪大学 大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本薬局方には医薬品の微生物学的な品質を確保するためにいくつかの微生物試験法が規定されているが、その信頼性を保証する諸条件が十分に整えられていない。本研究では、新技術を用いた微生物の迅速同定法、迅速検出法を開発し、これらの参考情報への収載を目指す。さらに、本研究班で作成した無菌医薬品の製造に関する指針(無菌操作法と最終滅菌法)の改正を目的とした。
研究方法
微生物の迅速同定法はマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-TOFMS)を用い、微生物迅速検出法には、局方収載のCFDA-DAPI二重蛍光染色法を用いた。無菌医薬品の製造に関する指針の改正作業は医薬品医療機器総合機構から3名、生物学的製剤の無菌性保証を担当している国立感染症研究所から1名、民間企業から17名を選出して行った。
結果と考察
E. coli (NBRC3972)、B. subtilis (NBRC3134)、P. aeruginosa (NBRC13275)、S. aureus subsp. aureus (NBRC13276)、S. enterica subsp. enterica (NBRC100797)のマススペクトルを独立した4研究所で測定し、室間再現性のある特徴的なピークの存在を見出した。また、遺伝子配列解析で理論的に分類不可能な95%以上の16S rRNA遺伝子配列相同性を有する大腸菌株はマススペクトルでは識別可能であり、さらには同菌種に属する菌株をも識別でき得る結果を得た。CFDA-DAPI二重染色法は水溶性の賦形剤では前処理をすること無く高精度に検出できたが、不溶性の賦形剤では前処理法の十分な検討が必要であることを確認した。日本版「無菌操作法指針」を省令GMP及び薬局等構造設備規則、ISO 13408-1 (2008)、WHO-GMP (2010)、EU-GMP Annex 1 (2009)、FDA無菌操作法ガイダンス (2004)、PIC/S Annex 1(2009)と比較し、改正を終了した。
結論
MALDI-TOFMSの室間再現性を日局指定5菌株につき検討し、それぞれにつき再現性のある特徴的なピークの存在を見出した。また、本法は遺伝子配列解析で理論的に分類不可能な近縁菌種でも識別する能力を有し、同菌種に属する菌株をも識別できる可能性を示した。二重蛍光染色による微生物迅速検出法は水溶性の賦形剤では前処理をすること無く高精度な検出が可能であった。日本版“無菌操作法による無菌医薬品の製造指針”の改正作業を終了した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,400,000円
(2)補助金確定額
5,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-