文献情報
文献番号
201034017A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の環境影響評価ガイドラインに関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
- 鑪迫 典久(国立環境研究所 環境リスクセンター)
- 鈴木 俊也(東京都健康安全研究センター 環境保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒト用の医薬品が環境中に排出された際に、化学的、物理的、生物学的な性状に由来して生態系におよぼす可能性がある。その環境影響を評価する手法の考え方を、すでに医薬品分野の環境影響評価を系統的に実施している欧米の事例を参考に資料を収集し、現在、国内で施行されている規制とも整合性のある、医薬品の環境影響評価ガイドラインの設定に関する考え方に寄与することを目標とする。
研究方法
欧米の事例を参考に資料を収集し、医薬品の環境影響評価ガイドラインの設定値および考え方を検討した。都市河川の医薬品の存在実態を調査し、環境影響評価ガイドラインの設定値を適用した予測環境濃度と比較検討した。河川水から検出されている医薬品について、生物試験を実施した。
結果と考察
適用の範囲、対象範囲、一般原則、曝露の推定、リスク評価、管理と廃棄および講じるべき予防・安全対策、科学的助言、環境リスク評価報告書、推奨される評価法の段階的手順について、医薬品の環境影響評価ガイドラインの設定に関する考え方を整理した。
下水処理水が流入する都市河川水を対象に医薬品の実測環境濃度を調査し、環境影響ガイドラインから求めた予測環境濃度と比較した。希釈係数10では、スルピリド、エピナスチン、ロラゼパムおよびカンデサルタンの実測環境濃度/予測環境濃度比は100%を越えることが明らかとなった。これらの医薬品は、ヒトが服用した後、ほとんどが未変化体の形で体外に排泄され、下水処理場においてもほとんど除去されないためであると推測され、ヒト体内代謝・排泄や環境中挙動が類似している医薬品は、希釈係数10を適用すると過小評価する可能性があることが示唆された。
環境中に放出された医薬品が生態系に及ぼす影響について、化審法及びOECDの試験法による、藻類,甲殻類および魚類に対する慢性毒性試験を実施した。底質に移行することが懸念されたフェノフィブラートについては、ユスリカを用いた底質毒性試験を実施し、底質経由での曝露による生態影響の可能性について検討した。活性汚泥呼吸阻害試験及び陸生植物生長試験についても検討を行った。その結果、本研究において用いられた方法により、生態影響評価が可能であると結論できた。
下水処理水が流入する都市河川水を対象に医薬品の実測環境濃度を調査し、環境影響ガイドラインから求めた予測環境濃度と比較した。希釈係数10では、スルピリド、エピナスチン、ロラゼパムおよびカンデサルタンの実測環境濃度/予測環境濃度比は100%を越えることが明らかとなった。これらの医薬品は、ヒトが服用した後、ほとんどが未変化体の形で体外に排泄され、下水処理場においてもほとんど除去されないためであると推測され、ヒト体内代謝・排泄や環境中挙動が類似している医薬品は、希釈係数10を適用すると過小評価する可能性があることが示唆された。
環境中に放出された医薬品が生態系に及ぼす影響について、化審法及びOECDの試験法による、藻類,甲殻類および魚類に対する慢性毒性試験を実施した。底質に移行することが懸念されたフェノフィブラートについては、ユスリカを用いた底質毒性試験を実施し、底質経由での曝露による生態影響の可能性について検討した。活性汚泥呼吸阻害試験及び陸生植物生長試験についても検討を行った。その結果、本研究において用いられた方法により、生態影響評価が可能であると結論できた。
結論
環境影響評価ガイドラインの設定に関する考え方を整理し、曝露の推定及びリスク評価のための推奨される評価法の段階的手順と試験法及び設定値を検討し、わが国で適用可能な案を作成した。
公開日・更新日
公開日
2011-05-17
更新日
-