文献情報
文献番号
201034015A
報告書区分
総括
研究課題名
季節性インフルエンザワクチン及び新規製法によるインフルエンザワクチンに対応した新しい迅速安全性評価法の開発と標準化への検討
課題番号
H21-医薬・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
百瀬 暖佳(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
- 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
- 持田 恵子(国立感染症研究所 細菌第二部)
- 板村 繁之(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
- 阿戸 学(国立感染症研究所 免疫部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
インフルエンザワクチンはシーズンに間に合うよう、短期間のうちに製造、出荷、国家検定を終える必要があり、高感度で迅速な安全性試験法の開発が求められている。現在までに我々は、インフルエンザワクチンの新規安全性試験法として、マーカー遺伝子の発現変動を指標とする品質管理の可能性を示した。本研究課題ではマーカー遺伝子の迅速発現解析系の開発を行い、その試験妥当性を検討することを目的とする。
研究方法
様々な活性を持つ検体を用い、遺伝子発現解析におけるrealtimePCR法と、精製RNAおよび肺ライセートを用いたQuantiGene Plex (QGP)法間のバリデーションを行った。また、動物安全性試験が遺伝子発現解析法に代替できるか検討するため、マウス白血球数減少試験の精度評価と、白血球数減少を惹起する機序についての免疫学的解析を行った。
結果と考察
全粒子ワクチンおよび高濃度HA原液の段階希釈品を接種したラット肺における遺伝子発現解析の結果、realtimePCR法、QGP法(RNA)、QGP法(lysate)間のデータの回帰係数は概ね0.8以上であり、いずれの手法を用いても同等の結果が得られることが示された。また、段階希釈品の濃度に依存した遺伝子の発現変動が確認され、従来法との整合性とともに、遺伝子発現解析法導入による試験感度の向上が見込まれた。さらに、インフルエンザワクチンのマウス白血球数減少試験に関して、精度の再評価を各製造所と共同で行い、繰り返し試験の再現性と試験精度の同等性が示された。一方、高濃度HA原液でも有意な白血球数減少活性を認める検体はほとんど無く、試験対象を現行の小分け製品から高濃度原液へ変更すると共に、規格値について充分に検討する必要性が考えられた。白血球数減少の機序についても不明な点が多いが、百日咳毒素を用いた検討から走化性因子の関与は否定され、他臓器への移動によって末梢血中の白血球数が減少するものではないことが示された。
結論
遺伝子発現解析法は高感度であり、解析系としてはrealtimePCR法、QGP法(RNA、lysate)のいずれも選択可能であることを示した。また、マウス白血球数減少試験では、試験対象を高濃度原液へ変更すると共に、規格値の検討が必要であることが示された。白血球数が減少する機序については、他臓器へ移動している可能性は否定され、走化性因子以外の関与が考えられた。
公開日・更新日
公開日
2011-08-05
更新日
-