医療機器の不具合用語の標準化及びコード化に関する研究

文献情報

文献番号
201034012A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の不具合用語の標準化及びコード化に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-017
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横井 英人(香川大学 医学部附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,110,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、本邦の医療機器安全対策に寄与すべく、医療機器の不具合等に関する用語集の作成を行うことである。その目的のために本年度は医療機器の安全性情報に関する用語集作成を継続しながら、実際に作成された用語集を行政への電子化報告に使用するためのテストを行い、その問題点を抽出することとした。
研究方法
1.既存の用語集の評価として(1)FDAの医療機器安全情報に関する用語集(2)SNOMED-CTの構造についての調査を行う。
2.国内における安全性情報の用語検討として(1)代表品目群における各用語集の作成(2)パイロットスタディー(トライアル)の実施を行う。
3.コーディングシステムを用いた伝送実験
4.用語集ハンドリングシステムの開発
結果と考察
FDA用語集は、22年4月に改変要求の手続き方法を発表し、メンテナンス体制の整備を実施を表明した。しかし、同一コードの用語定義(概念)の変更などが未だ行われており、黎明期の用語集であることを否めない。
SNOMED-CTは、システム的に生成された大量の概念が収載されている。医療機器に関連する概念は、分散していると思われ、さらに極端に概念ベースであるので、マッピング可能な率の感触はつかみ切れていない。
安全情報の国際共有化は、データ形式・用語の共有化からなる。国際整合を考慮したとき、GMDNは有力な候補であり、同コードとの整合性を念頭に置く国内運用を考える必要がある。我々は、FDA用語集と作成中であるWGの用語集はマッピングを行っている。国内の安全情報共有に必要な粒度を前提の作成は問題ないが、国際連携を考慮したときにFDAよりも粗い粒度の用語集を使用する分野に発生する問題の有無をあらかじめ検討すべきであると考える。
開発した用語集ハンドリングシステムは、階層構造を持つ用語集の簡便な処理・XML/CSVによる他システムとの連携・用語集の比較などの特徴により、WGで収集した用語を統合し、管理する作業を効率的に行えた。また、複雑な用語集構成を持つ本用語集を連携するシステムに反映する場合にも有用であった。GHTFに於いて本システムが効率的に用語集を作成できることをアピールし、日本が医療機器安全情報の国際共有に積極的に関与する姿勢を見せることができた。
結論
今後、規制に際して必要な情報粒度・用語選択の検討を継続し、また有害事象の重篤度等との関連の扱いなどについても検討をしていく必要がある。その過程で、改めて今回作成した用語集で使用した単語を定義と共に再検討する機会があるであろう。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201034012B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機器の不具合用語の標準化及びコード化に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-017
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横井 英人(香川大学 医学部附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 廣(日本医療機器産業連合会 PMS委員会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、本邦の医療機器安全対策に寄与すべく、医療機器の不具合等に関する用語集の作成を行うことである。そのため、医療機器の安全性情報に関する用語集・伝送規格の国際動向を調査することとした。
研究方法
1.既存用語集の評価
(1)米国FDAの医療機器安全情報に関する用語集
(2)ISO/TS19218-1(医療機器不具合に関する用語集)
2.国内における安全性情報の用語検討
3.用語集ハンドリングシステムの開発
結果と考察
FDAの用語集の品質は向上しているが、メンテナンス業務について十分な品質が確保されているとは言えない。日本で検討していた部品・構成品コードと同様のコードを、Component codeとして準備に入った。この点はFDAが日本の開発姿勢に影響を受けた可能性がある。FDA用語集の統一的運用に関する提案を日本から出しており、国際共有に有効であるため、検討を続けていく必要がある。
ISOの用語集は医療機器の不具合用語とそれをグループ化する上位階層の二階層からなる。日本では、法令で定める不具合報告に用いるには粒度が粗く、直接的にこのコードを使用する必要性はないと考える。ただし、GHTF SG2が、国際協調に於いて使用することを決定している。今後も用語のマッピング作業を行い、本邦で作成中の用語集・FDAの用語集を使用している場合、自動的にISOのコードに変換が可能となる環境を整備する必要がある。
医機連のWGと共同で用語集の作成作業や、運用に関する意見調整を行った。次に用語の準備が整った団体は、パイロットスタディを施行し、内容のフィードバックが行われた。さらに運用実験を行うために、作成した用語集によるコーディングを行い、参加企業とPMDA間で、実際の電子報告システムを利用したデータ伝送実験を行った。今後、国際整合を視野にいれたコード化を行うことが必須である。
用語集ハンドリングシステムは、香川大学により動作検証を行い、最終的な用語集編集作業に用いた。今後用語集のメンテナンスを行う際の迅速性と正確性を実現する目算が立ったという認識を持っている。
結論
3年にわたり、医療機器の不具合用語集の作成を行い、これにより、平成21年度の不具合報告の84%をカバーする用語集の作成が終了した。また欧米で使用されているFDA及びISOの不具合用語集を数バージョンに渡りマッピングした。また、本システムで編集した用語集を使用して稼働するコーディングシステムを試作して、今後の本用語集の実運用に必要な要件の洗い出しを行うことができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201034012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究者は、医療情報分野に於いて、用語集編集の豊富な経験を有しており、国際標準規格策定にも協力をしている。これまで経験に頼って進めていた編集作業を、最終的に業界や行政のスタッフがメンテナンスを可能とするために、用語集ハンドリングツールを開発した。同ツールに関する発表は、運用経験と合わせて、日本医療情報学会でも高い評価を受け、優秀口演賞を受賞している。
臨床的観点からの成果
今回我々は、医機連と共同で医療機器の不具合用語集を作成した。これまでの用語集は、それぞれのユーザーが準備した同義語などを使用することができないことが多かった。多くの場合、医療機器の不具合は医療機関からもたらされるが、その言葉の使い方は必ずしも統制されていない。これを元に用語集の中の用語を選び直さなくてはならない。しかし、今回作成したハンドリングツールは、各ユーザーに用語集のカスタマイズを許しており、臨床家の表現と標準化された用語集の間をつなぐことが可能となる。
ガイドライン等の開発
本研究は、薬事の安全対策業務に寄与する用語集の開発を目的としている。現時点で特定のガイドライン等の開発には関連していない。
その他行政的観点からの成果
前述したように、ハンドリングツールは本用語集の可用性を高く保つ可能性を示唆すると考える。また、これと連動した形の不具合コーディング・報告ツールも試作され、それを用いての伝送実験にまで移行し、本邦に於ける医療機器不具合に関するコード化は大きく前進したと思われる。医薬品の副作用を扱うMedDRAに相当する用語集を本邦で作成したことは大きな意義を持つ。
その他のインパクト
GHTFに於いて、日本の取り組みを紹介した。更に、現在GHTFでの標準であるISO19218よりも、詳細な情報表現が可能な医療機器不具合用語集の認定を提案中である。これらの議題に於いて、日本が主導的に議論を進めている。
同活動の意義、その内容については、平成22年度には「第78回薬事エキスパート研修会(日本公定書協会)」及び「第10回安全性情報管理講習会(日本医療機器産業連合会)」で紹介され、後者は日本医科器械新聞に報道された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
長井美和, 横井英人,用語集編集に関する諸経験とツール作成,医療情報学 横井英人,用語集の標準化と個別化の狭間で,医療情報学
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
長井美和,横井英人,用語集編集に関する諸経験とツール作成第30回医療情報学連合大会 横井英人,用語集の標準化と個別化の狭間で,第29会医療情報学連合大会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034012Z